劇場公開日 2013年3月22日

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「タイトルなし」ザ・マスター えみりさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0タイトルなし

2022年8月2日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

 ドキュメントタッチのシリアスな映画かと思えば、二人の男の宗教と生き方を介した関係の物語だった。ホフマンは、別の映画(カポーティ)で破滅的なアルコール依存者を演じているし、二人のキャスティングは奇跡みたいなものだ。若い頃から依存症治療を受けて克服したホフマンはこの映画の打ち上げで再飲酒してしまったという話がある。依存症者の役で2つの重要な映画に出てどちらも賞を取っていること。
 コーズの技法は、下手をすれば主人公の精神を破壊する。でも、主人公は徹底したトラウマの人工的解離によって、何とかむしろ均衡を取り戻し、しかしそれ故、正気になって昔の彼女に会いに行って絶望の中に立たされる。
 マスターは、不安と怖れを孤独に持ち続ける。それを理解できるのも主人公しかいない。信じることができるけれど、決して教団には属さない、マスターにも支配されることのない主人公。ラストのセックスシーンは少し希望だけれど。
 想起が想像に変わったのも、マスターが彼と出会ったからだ。

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えみり