「久々に出会った心底つまらない映画! 個性派3人のクセがすごい!」ザ・マスター たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
久々に出会った心底つまらない映画! 個性派3人のクセがすごい!
第2次世界大戦後のアメリカを舞台に、戦争により心に傷を負った元水兵の男フレディと、とある新興宗教の教祖ランカスターとの交流を描いたサスペンス・ドラマ。
監督/製作/脚本は『マグノリア』『パンチドランク・ラブ』の、世界三代映画祭を制覇した名監督ポール・トーマス・アンダーソン。
主人公フレディを演じたのは『グラディエーター』『ホテル・ルワンダ』の、後のオスカー俳優ホアキン・フェニックス。
新興宗教の教祖ランカスターを演じたのは『マグノリア』『パンチドランク・ラブ』に続きポール・トーマス・アンダーソン作品に3度目の出演となる、オスカー俳優フィリップ・シーモア・ホフマン。
ランカスターの妻ペギーを演じたのは『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』『魔法にかけられて』の、名優エイミー・アダムス。
ランカスターの義理の息子クラークを演じたのは『ナイト ミュージアム』シリーズや『バトルシップ』の、後のオスカー俳優ラミ・マレック。
第69回 ヴェネツィア国際映画祭において、銀獅子賞(最優秀監督賞)とヴォルピ杯(最優秀俳優賞:男優賞)の2冠を達成❗️
第38回 ロサンゼルス映画批評家協会賞において、美術賞を受賞!
天才と称される名匠PTA監督作品を初鑑賞!
素直な感想としては、この人本当に天才なの〜ん?て感じ。
本気で観るのが苦痛な作品に出会ったのは久しぶり。
1時間過ぎたあたりから時計確認しまくりました…😅
映画の出だしは悪くない。むしろ面白いドラマが始まりそうな予感がプンプンする。
戦争により心が壊れた男。これを説明的なセリフではなく、彼が起こしたことを淡々と描写していくことで表現していく様はなかなかスマート。さすが名匠といった風格がある。
落ちぶれたフレディが潜り込んだ先は、新興宗教の教祖がパーティーを開いている客船。
教祖ランカスターが、フレディの持つ密造酒に興味を持ったことで2人の交流がスタートする。
始めは全く興味を持たなかったフレディだが、ランカスターの心理療法を受けたことでだんだん彼にのめり込んでゆく…。
おぉ!なかなか面白くなりそうな展開だ!むしろここからつまらなくなる方が難しいだろ!!
フレディがランカスターの開いた宗教団体「ザ・コーズ」をカルトだと糾弾する人物の家まで出向き、彼になんらかの危害を加えるシーン。
わざわざランカスターの義理の息子クラークを連れて行くという気味の悪さ、暴行の場面を映さないことで逆に際立つ暴力性など、フレディという男の狂気がプンプンと漂っており、映画の緊張感が否が応でも高まります。
他者を支配することでその地位を確立した教祖と、彼を信奉しながらもその支配力から逸脱していくフレディ。
自らの教義の正しさを証明するため、教祖はフレディを治療しようとするが、そんな教祖の態度にフレディは次第にフラストレーションを溜めてゆく…。
このフレディ暴行事件の後、話の筋としては以上のように展開していく。
このようにポイントを抽出すると面白そうなんですが、その出来はまぁ酷い😫
フレディの暴力性が露呈したあたりから、サスペンス的な展開に舵をきればすごく面白くなったと思うのだが、実際には起伏のない展開がだらだらと続くので全く興味が持続しない。
新興宗教の教義ではなく、人と人の付き合いを通して1人の男が回復していく様を描きたかったんだろうが、その描写が淡白かつ腑に落ちないところが多いため、なんの感動も湧いてこない。
ランカスターの家族がフレディに不信感を抱いているという描写があり、また自分の父をインチキだと言い放つ息子をフレディが恫喝するシーンなんかもあったので、もっとランカスターの家族とフレディの対立なんかが描かれてもよさそうなものだが、その辺りはなんかうやむやになる。
実はランカスターを裏で支配していた妻のペギーの描写も中途半端。結局あの人なんだったのかよくわからない。
人間の本質を突いた重厚なドラマを描いているつもりかもしれないが、映画の尺を埋める為、意味ありげな展開をただただダラダラと続けているだけに思えてしまい、カタルシスや心踊る興奮は皆無。
マジで辛かった。
どういう層の観客がこの映画を楽しむんだろう?うーん…🤔
ただ間違いなく良かったのは主人公フレディを演じたホアキン・フェニックスの演技。
相変わらずブチギレている。
ホアキンの代表作『ジョーカー』を先に見ていたので、フレディがジョーカーにしか見えなかった🤣
いつピエロのメイクをして暴れ回るのか期待してたんだけどな〜🤡
ホアキン・フェニックスとフィリップ・シーモア・ホフマン、そしてラミ・マレックというオスカー俳優が3人も出演しているが、この3人はハリウッドを代表するクセ強俳優。
この3人が一つのフレームに収まっているという絵面が面白過ぎて、それだけで爆笑してしまった🤣
俳優の演技を楽しむという意味ではオススメ出来る。特にホアキンに興味がある人なら観ても損はない…かな?