ムーンライズ・キングダムのレビュー・感想・評価
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困ったときのシュール論
シュールな笑いとは、不条理だから笑えるのではない。そこに現実が見え隠れするから、笑えるのだ。
と松本人志は言っていないけれど、そう思う。
本作もやはり、大人のコドモ映画である。大人がコドモに勝手な妄想やアリもしないノスタルジーで描いている。
しかし、いぬっころが死んだり、カナブンみたいな昆虫のアクセなどは、コドモの残酷さを描いてるだけまだマシか。
それでも、露骨にいやらしいシーンがあり、
「これ誰に見せる映画かよ?」
と本気で思ってしまった。
(だってポスター、さわやかだったし。)
結局「シュール」というそれのみが決して笑いにはならないのに、その言葉を使ってツウな人々は本作をそう評価する。
豪華キャストも特に意味はなく、客寄せパンダに徹している。
実際演出は彼らに一切の感情を描くことはない。豪華キャストの出演は目に見えることだけがその要因ではないのだよ、と社会人なら誰でも分かることに目を背けてもしょうがないのではないか。淡々とコドモに振り回される役柄をきっちり演じているといえば、そうだが、見せ所はまるで無い。
そこがシュールといえば、シュールか(笑)
そう、とっくにお分かりだだろうが、オレはこの映画はダメ。
「コドモ映画」
「シュール」
無理です、勘弁してください。
ほか、まあ、それでも良かったポイント
エンドロール。
マイク・オールドフィールドの「チューブラーベルズ」のラストのアレが大好きだったので、生涯でもかなり上位にくる好きなエンドロール。中身はもう忘れたが、エンドロールの楽しさ「だけ」は既に本年度最高。
(全然関係ないが、生涯ベストエンドロールは「ゴッドファーザー」)
独特の人間味のなさ
⚠️動物が傷付く描写が苦手な人は注意!
今作も絵本のような色味とカメラワークで、ウェスアンダーソンっぽさ全開の映画でした。
良い意味で人間味が少なく、淡々と進んでいくストーリーが独特です。
ハサミで機能不全になるレベルの刺し傷を喰らわせたり、雷に思いっきり打たれていたり、犬が弓矢で即死していてもサラッと流す感じがウェスアンダーソン作品のブラックさを表していました。
しかしこの物語の中心は、家族や周囲に馴染めない少年少女の孤独と共感、そして逃避行という、人間の強い感情ど真ん中!という不思議な違和感。
淡々と進むストーリーと演技の中でも、2人の孤独感や共感、互いを好きな気持ちが感じられて切なくなりました。
ブルースウィリス演じる警官も良いキャラでした。
ビールを勧めるところとか…大人として警官として子どもたちを守る事は大前提として、主人公の事を尊重している様子がビールのシーンから感じ取れました。
(未成年飲酒だめ🙅)
『小さな恋のメロディ』をリスペクトされていればなぁ。
『小さな恋のメロディ』をリスペクトされていればなぁ。
主人公の少女がトレーシー・ハイドさんにどことなく似ている。
ストーリーもそんな感じだ。しかし、少なくとも1965年以降、アメリカを襲う嵐はもっとひどくなる。
災害で死を迎えた方々に冥福を祈る。でも、スヌーピーの死は犬死。やはり、災害よりも怖い戦争って事かなぁ。深い話だ。
原題 Moonrise Kingdom
製作年 2012年
製作国 アメリカ
劇場公開日 2013年2月8日
上映時間 94分
映倫区分 PG12
オシャレ
ノートン目当てで見た。
オシャレというか可愛い映画。
ウェス・アンダーソン監督の作品は自分にはあまり合わないや、、。
犬が死んじゃったり、爆発したり割と驚くシーンはあった。
子供たちはかわいい。キャストは豪華。
サムとスージーの駆け落ちがみんなに魔法をかけました。
童話のような話
ボーイスカウトの中で仲間に虐げられていたサム
家族の中で問題児扱いされ孤独を感じるスージー
幼い2人は駆け落ちを計画する
サムは孤児として引き取られていたがボーイスカウトに預けられ、ついには里親にも絶縁されてしまう
引き取り先が見つからなければ福祉局により児童収容施設に入れられてしまう
行末は大人に決められている
そのレールから逃れ続け、ついには死を覚悟する
その直向きさに動かされた大人が2人を救う
2人は愛し合っていて、生きる術も持っている
大人よりも賢い
分別には時間がかかる、それを守るのは大人の役目
警部はこの言葉を守った
ただのおしゃれっぽい映画じゃない
最初は、ただのおしゃれ単純映画なのかな〜ってカンジで見てたけど
そんなことない、素晴らしい映画でした。
まず、子供が主人公という点。
子供の駆け落ち、煙草を吹かす少年、化粧ばっちりの少女。
映像のキッチュさからは、廃れている感がハンパない。
でも、周りの大人と同じくらい愛について真剣に考えている2人の見た目、中身と子供であることのギャップは、この映画の映像のかわいらしさと出てくる大人がリアルにキツいカンジとのギャップと重ねているのではないだろうか。
次に、これが子供目線のロードムービーで、ゴールは彼が家族を得るところがよかった。
愛、恋、家族、友情、戦い、不倫、などなど要素盛りだくさん。
あと、中盤ずっとだめだめだった大人達が子供のためにラストで本気をだすところもよかった。
ここが一番よかったかもしれない。
景色もきれいだし、演出もいいし、おしゃれなだけなく毒もある。
おしゃれなだけの映画ではないです。
冗談みたいな子供の駆け落ちストーリーはちょっと甘酸っぱい秀作
とにかく映像とファッションが可愛い。最初のスージーが家から双眼鏡で遠くを見るシーンからすでにかわいすぎる。レトロな色調、レコードなどの小物、奥様は魔女のようなワンピース(僕が勝手に思っただけですが…)すべてがとても可愛い。
ボーイスカウトの服装や子供たちも非常に可愛かったです。
ストーリーの方は本当に悲しくも甘く、複雑な思いを起こさせるそんな感じでした。
里親に育てられ、愛情を感じられず、周囲とも反目しながら問題を起こし続けるサム。
サムにまったく関心を持たずたらいまわしにしていく周囲の大人たち。
サムのちょっとかわった性格からいじめに走るボーイスカウトの子供たち。
そんなサムに惹かれるスージー。
子供って残酷だし、大人ってもっと残酷だなぁと思ってしまいました。
でも、サムとスージーの甘酸っぱい逃避行はすごく素敵で、浜辺で踊る二人やディープなキス…ピアスの穴をあけてしまう偏狂的な愛情も、周囲の景色と相まって、ファンタジー感満載でとっても素敵でした。
二人の甘い時間は長くは続かず大人との最後の大とりもの。衝撃のラストは…笑えます。
映像の素晴らしさ、子供の純真無垢な(ちょっとおかしいけど…きらいじゃない)愛情がとってもほっこりする映画でした。
シュールな屋外学芸会。
好みでいうと、ハッキリ好き嫌いの分かれる作品だと思う。
可愛い!面白い!って人もいれば、これの?どこが?って人も。
しかしこの監督の作品が公開されれば、何かと話題になるのは、
やっぱり好きな人が多いってことなのかしら~。
あれ?今回O・ウィルソンが出てないぞ…ってチト心配しながら、
ハイハイ、J・シュワルツマンさん。いつもありがとうございます。
B・マーレイも、歳とったなぁ…(当たり前か)なんて思いつつ、
おかしなダンスを披露するかと思ったら、今回はそれはナシ。
奥さん役マクドーマンド、福祉局員役のスウィントンもなかなか。
けっこう似合ってる?と思ったのが、ダメダメ隊長E・ノートンで
いつか見限られるんだろうな~と思ったら、本当にそうなった^^;
B・ウィリス、何やってんの?こんなとこで~?と思わせるほど
ダイ・ハードじゃない(運は悪い)役柄を本人が楽しそうに演じてる。
なんだか、俳優達が狭い狭い島で、内輪だけのキャンプを拓いて、
ワイワイ楽しくやってるだけのような、まったくせせこましいお話。
小さなおじさん?と、熟女?みたいな少年少女を主人公に据えて
彼らに駆け落ちというオトナの逃避行を味わってもらうスタイル。
およそ可愛い?とは言い難い風貌の、とても大人びたお二人。
いちいち交わされるシュールな会話に、お見通しか?と思わせる
的確な説明表現。いくら時代が1965年といっても、日本人の子供
達にゃ、あんな表現は絶対できないぞ。悪寒がするほど薄笑い~。
劇場前方席で、どこかのオバさんが大声でケラッケラッ笑っていて、
この世界に声をあげて楽しめる妙な勇気に乾杯&脱帽した。
ありそうにない世界観の中で、あり得ない事件が起きているため、
島内の皆さんがドタバタやってても、観ているこっちはゼンゼン
心配の種はない。まさか行方不明~とんでもないことにはならない
だろうと思いつつ、でも、天候悪化はマズいぞ…なんて少し心配。
しかしまぁどの場面であっても、色鮮やかなドールハウス?の中
という気がして、まったくリアル恐怖が感じられない(そこが狙い?)
高度な技術を用いた屋外学芸会。のノリで、
スクリーンが舞台のように使われている。最後にみんなで揃って
カーテンコールでもやってくれない?なんて思ってしまったほどだ。
一同が会したチラシの記念写真?が彼らのすべてを物語っている。
(ナレーターのB・バラバンみたいなおじさん、お人形で売ってるね)
とってもアートな作品
アメリカ映画
監督:ウェス アンダーソン
脚本:ロマン コッポラ
音楽:ベンジャミン ブリテン
キャスト
保安官シャープ :ブルース ウィルス
スージー :カラ ヘイワード
サム :ジャード ギルマン
スカウトマスター:エドワード ノートン
スージーの父 :ビル マーフィー
スージーの母 :フランシス マクドナルド
ストーリーは
1965年夏、ニューイングランド島。
夏の間、ボーイスカウトが ニューイングランド島で、キャンプをしている。スカウトマスターの指導の下、キャンプ内での規律はとても厳しい。食事、炊飯、野外活動、就寝、すべてが時間どうりに 秩序正しく行われなければならない。
ある日、サムと言う少年は、地元の学校の生徒達が教会で「ノアの箱舟」の劇を演じているのを見て、ひとりの少女に恋をした。少女の名前はスージー(カラ ヘイワード)。
サム(ジャード ギルマン)とスージーは 示し合わせて、計画したとおりに駆け落ちをする。サムはテント1式を背負い、空気銃も担ぎ、スージーはスーツケースに愛読書をつめて、ふたりの逃走劇がはじまる。
12歳の少女の失踪で、普段は眠ったような、静かな田舎町は大騒ぎ。少女の両親はあわてふためき、ボーイスカウトのキャンプも大慌て。12歳のサムは 孤児だったので、養父母の育てられていたが、これを機会に、養父母は、サムの引取りを拒否。サムが見つかり次第、孤児院に送られることになった。スージーの両親の要請を受けて、保安官のシャープ(ブルース ウィルス)は 何としても二人の身柄を確保しなければならなくなった。
一方、恋する二人、12歳の道行きは、きわめて順調。二人して手に手をとってボートでムーンライズ キングダム岬に渡って、海辺にテントを張り、サムは魚を仕留めて料理して、スージーは毎晩、サムに本を読んできかせる。二人して仲良く 眺めの良い海辺で過ごしていた。しかし、大型台風がやってきて、、、。
というお話。
映画のストーリーや、キャストや、ドラマがどうこう言うような映画ではなくて、映画そのものがアート作品。ふつうの映画ではない。非現実的なフェアリーテールでもある。
例えば、教会の尖塔で 恋する二人を保安官が引き戻そうとしているところで、雷の音がした、と思った次の場面で、折れた教会の塔に片手で保安官が捕まっていて、その片手にサムが、またその片手にスージーがぶら下がっている絵のようなシーンがある。
あるいは、ボーイスカウトのマスターが居住する小屋は 50メートルもある高い木のトップにのっかっている。そのくせ中では揺れもしない。物理学的にも、建築上も、土木工学的にも、ありえない小屋なのだ。
カメラは正面から写していて動かない。画面が平面的で奥行きがない。ボーイスカウトの小さなテントが沢山並んでいるが、そこに一人が入るシーンがある。次のシーンはテントの中だが、これが驚くほど広くて整然としている。距離感とか、奥行きの 普通の感覚が覆される。
ブルース ウィルスの演じる保安官のキャラクターガ生きている。二人が捕られる。娘と引き離されたサムに、保安官が朝食を作ってやっている。すっかりしょげているサムに、どうだ、あの浜辺では楽しかったか?と聞く。いいなあ、あの浜辺。俺に彼女がいたら、絶対あの浜辺に連れて行ってやっただろうと思うよ。と、実に共感をもって語り、サムを一人前の男として扱っている。
登場する大人たちが、みな、スージーの両親も含めて、どこかずれている。大真面目だが、ずれている様子が とてもおかしい。
サムが獲物を捕まえ、解体して 火をおこし料理する。スージーが食べ終わると、サムが眠るまで、本を読んで聞かせる。テープレコーダーの曲に合わせて、砂浜で踊ったり、手を繋いだり、泳いだり、ちょっとキスしたりする。ひょうひょうとした眼鏡の少年が、頼りなげに見え、危なっかしくて仕方無いのだが、見ている側は、笑いをこらえて見守っている。
駆け落ちという深刻なできごとを 駆け落ちにはちょっと早すぎる二人が気軽にヒョイとやってしまい それに混乱して上や下やの大騒ぎに巻き込まれる大人たちが笑える。
音楽が良い。ベンジャミン ブリテンの「真夏の夜の夢」や、「ノアの箱舟」などからもってきた音楽が 画面の芸術性や、とっ拍子のない筋書きによくマッチしている。
大人でもない、子供でもない、テイーンでもない、スージーとサムの危なっかしい愛の行方に、ハラハラしながら、笑いをこらえながら見ている誰もが いつしか二人の見方になっていて、二人がどんなことになっても守ってやりたい、と思うだろう。
子供だったとき、人を好きになって、それがどんなに純粋で真剣だったかを思い出して 胸が痛くなる人もいるかもしれない。
とても楽しい、ロマンテイックコメデイー。
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