ムーンライズ・キングダムのレビュー・感想・評価
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大人の絵本
小さな島で12歳の少年少女が駆け落ちする。逃げるといっても子供だけで島からは出られないので、いずれ見つけられて捕まるのは分かりきっている。
この映画では、身の回りで一般常識を破る者が現れた場合、周囲の人間がどう振る舞うのかを描写する。
はじめは迷惑なヤツらだと思っていた人々も、小さな二人を温かく見守りはじめる。60年代の、人々が助け合って生きてきたよき時代を、軟らかな色調とともに想起させる。
いじめっ子も大人も、誰もが手を差し伸べる。
そこに嫌味な上官や福祉局員といったちょいワルを登場させ、ところどころマンガチックなカットを挿絵風に挿入して、子どもが主人公ながら、大人が責任ある大人に成長していく大人のためのファンタジーに仕上がっている。
だから大人たちのキャスティングが贅沢なのだ。
60年代といいながらも、現代でも話が受け入れやすいように、もしかしたらそんな人と人が温かく繋がった生活が残っていそうなと思わせる小島を舞台に選んだのがよかった。
気象観測者みたいなのがナレーターを務め、いっそう絵日記風な色合いを醸し出している。
アーティスティック
好きです。こういう映画。
アーティスティックで60年代チックな色彩でツボです。
スクリーンで観る不思議なカラーが印象に残ってて魅力満載。
豪華キャストが揃う中、がんばった少年少女がメインの映画で見ごたえたっぷり。
サムを演じた男の子は主役級に光ってたしスージーを演じた女の子もキュートでした。
驚いたのがこのサムとスージーを演じたふたりは本作がデビュー作らしい!
他にも子役の男の子たちが出てくるんですがなかなかで可愛かった。
猫も犬も登場して釘付けです。
愛や恋を描くのは年齢なんて関係ないと思った。
とっても一途でピュアで行動力があってどこが懐かしさを感じられて・・・
大冒険がキーワードで観ててハラハラドキドキします。
ふたりだけの場所を目指す姿に自分自身を重ねてしまう瞬間がありました(笑)
そこはしゃれた入江でその名前がタイトルにもなったそれで素敵でした。
キラキラした気持ちが伝わってくる可愛らしい映画で好きです。
ウェス・アンダーソン監督のセンスに感動しました。
この映画の雰囲気や色など どことなく中島哲也監督が好みそうなテイストでした(笑)
ブルース・ウィルスもちょっぴり抜けた役(笑)きっと珍しいポジションかも。
とにかくサムとスージーの恋の行方が気になる映画です。
不思議な感覚の映画でした。
予告通りの、なんというかゆるい(?)、スキップ(?)してるみたいな不思議なノリの映画でした。
ウェスアンダーソン監督の作品初めて見ましたが映像がpopで面白い。
CGやアニメを適度に絡めながら面白く見せてくれます。
小さな恋のメロディ見たいな感じでした。
仲間から浮いている男の子と女の子が駆け落ちを実行、見つけ出されて離れ離れに、それを敵対していた子供仲間が手助けしてくれて再び二人は結ばれていきます。
子供たちの思い出の1ページなんだろうけど、周りの大人たちも優しく(?)絡んでいきます。
確かにちょっと不思議なのりの映画でした。
けど、ほんわか幸せ感味わえる良品でしたよ。
シュールで完璧な心温まるコメディ
「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」を見てからというもの、ウェス・アンダーソンはお気に入りの監督の1人となったが、今回もその期待を裏切らない。
ストーリーは至ってシンプルだ。周囲の人間から問題児とみなされている少年少女が駆け落ちをする。ただこれだけのことを描いている。強いて言うならテーマは「愛」かもしれないが、この映画にそれを求めるのは陳腐というものだ。「ファンタスティック Mr.Fox」と同様に、純粋に映画を楽しむことが目的なのである。
しかしその一見単純なストーリーもアンダーソンらしく一筋縄ではいかない。突っ込みどころ満載で、限りなくシュールなその世界観は誰にでもまねできる物ではない。そこに洗練された様式美(少々スタイリッシュすぎるきらいもあるが)が加われば、唯一無二の「ウェス・アンダーソン映画」の出来上がりだ。
彼の映画すべてに言えることだが、俳優陣が見事だからこそ物語も引き立つのである。主演の2人、ジャレッド・ギルマンとカーラ・ヘイワードは、大人びているのに子供らしさを残したまま演技を見せている。少しクールすぎて感情移入するのは難しいかもしれないが、どことなく暗いトーンが漂う映画の雰囲気は彼らが作り出している。
そして彼らの脇を固める大人たちは文句なしの配役だ。ここ最近は目立たなかったエドワード・ノートンも、今回は彼が得意とする役柄の1人「情けないけど愛すべき男」に完璧になりきっている。狂気をはらんだ役柄も良いが、いつもしょぼくれて眉が垂れ下がっているウォード隊長もなかなかのものだ。
フランシス・マクドーマンド、ビル・マーレイもさほど出番は無いが、どちらもそれぞれが最も得意とする役を見事に演じきった。マクドーマンドは娘役のヘイワードと、ブルース・ウィリスとの会話で見せる、威厳と哀しみの入り交じった表情が絶品だ。ビル・マーレイは相変わらず「笑わない演技」で笑わせてくれる。普段は無気力な目つきでいるのに、突然怒り狂ったりする様子は本当に面白い。もう少し台詞があっても良かったのでは。
もう1人忘れてはならないのが、ブルース・ウィリスだ。普段のマッチョな役柄ではなく、いつも悲しそうで、騒々しい面子に振り回される島の保安官を繊細に演じた。彼とジャレッドの会話のシーンは笑いがこみ上げると同時に哀愁も誘う。彼の過去に何があったのかは明かされないが、それでもこの映画の中で一番観客が入り込める役柄ではある。それまでの細やかな演技があったから、最後のシーンで彼が発する言葉には感動させられる。そしてジョン・マクレーンよりもかっこいい。
独特のカメラワークやレトロな質感、随所に流れるセンスのいい音楽。どこを取っても完璧で、忘れがたい。言葉で表すよりも実際に見た方が早いだろう。今年度最高の一本は、見る者を絶対に満足させてくれるだろう。
(2013年2月11日鑑賞)
いつしか失われたキングダム
『天才マックスの世界』『ロイヤル・テネンバウムス』など、
ヘンな映画を撮るウェス・アンダーソン監督の最新作。
今回もやっぱりヘンな映画でした(褒めてます)。
漫画かポップアートのように鮮やかな色彩と几帳面な配置。
絵画を切り取るかのようにスルスルカチリと動くカメラ。
やけにシンメトリー(左右対称)を多用する画作りが印象的だ。
そして、奇妙なものの数々。
危険高度のツリーハウス、カヌーの先のアライグマ人形、甲虫のイヤリング、
矢の刺さった犬、きつねやカラスの被り物、謎の赤服おじさん(笑)。
管弦楽の構造を解説する奇妙なBGMや60年代らしいサイケな音楽なども含め、
隅から隅までシュールでキュート。
映像や音楽がヘンなら当然、登場人物たちもヘンです。
浮気相手に靴を投げ付けたり、子どもに失恋を慰められたり、
スカウト隊隊長という“副業”に気合を入れまくっていたり、
なんだか子ども達より子どもじみた大人達(名優達が見事なまでに情けない(笑))。
それに対し、なんだか大人達より大人びた子ども達。
サムとスージーがスカウト隊に囲まれるシーンでは
まるでアクション大作みたいなテンションの子ども達にクスクス。
スージーの前でキャンプの知識を披露したがるサムの姿も可愛らしい(案外頼りがいもある)。
後半、スカウト隊で行った“式”のシーンも、子どもなりにだが真剣そのもの。
そう。くすくす笑いながら観ていたけれど、子どもは子どもなりに、物凄く真剣に生きている。
世界に味方がいないのなら尚更だ。
彼らにとっての“世界”はまだ全長26kmの小島でしかないが、
その小さな世界を、小さな体に持てるだけの精一杯の真剣さで戦っている。
あの保安官達のような、情熱を忘れて日々の生活にくたびれ切った大人だからこそ、
真っ直ぐな情熱で突き進むあの2人に味方したくなったのかも知れない。
あのラストはハッピーエンドと捉えて良いのだろう。けれど僕の場合、
『このひたむきな情熱も、大人になれば失われてしまうのかしら』
と考えた途端、なぜだか少しだけ泣きたくなった。
嵐で失われた王国が、あの2人の記憶に刻まれたのと同じく、
子ども達がいつまでも真っ直ぐな気持ちを持ち続けていられますように。
ふわふわとしていて少しだけノスタルジックな、童話のような映画。
それにしても、あの千里眼の赤服おじさんは結局何者だったんだ(笑)。
<2013/2/8鑑賞>
シュールな絵本を映画に
独特な世界観のなかに、どこか懐かしさを覚える
そんな作品です
あっという間に終わった気がします、実際上映時間も短めの94分で
気軽に見れる映画です^^
まだまだ子供の私はほっこり。
また大人になって観返してみたら、その時にはまた違う感想を持つのではないかと思います。
これぞまさにアメリカ映画
ずっと楽しみにしていた作品だったので公開初日に行ってきました。
60'sのアメリカの、何故か私たちまで懐かしいと感じるような世界。
人々が生きることを純粋に楽しんでいた頃の話、といった印象を受けます。
レトロでカラフルな画面に、メガネが大好きな私にはたまらないヴィンテージメガネをかけた魅力的なキャラクターが沢山登場して、それだけでウキウキしました。
音楽もストーリーとうまく絡んでいてとてもよかったです。
オズの魔法使いとスタンドバイミーとトムソーヤーと…
アメリカンストーリーのまさに王道をいく少年たちの一夏の冒険とそれを通じて成長する人々を描いた、ハートウォーミングな作品です。
ウェスワールドは健在
12歳で駆け落ちしてしまう子供、子供たちに翻弄されてしまう大人達。
描かれる世界のなんて可愛らしいこと。
ウェスワールドは健在で、「家族」について描きながらも毒を含む人物達の愛らしいこと。
ウェスの達者な描写術には今回も唸らされます。
この映画を嫌いになる人、嫌悪感を抱く人は0に等しいのではないでしょうか。
12歳の少年、少女の駆け落ちに大興奮っ!
冒頭から、ドキドキさせられるようなカメラワーク、音楽で、
いきなり心を鷲掴みっ!
ウェス・アンダーソンの作品はあまり観たことがなかったが、
極限までこだわり抜き、作りあげられた完璧な世界観に、
終始酔いしれてしまった。
この世界に入りたい!!!
物語はとてもシンプル。でもとてもドラマチック!
12歳の少年少女の駆け落ち。それを取り巻く、豪華スターたちのいつもは
見せない意外な一面。
みんな不器用で、愛おしい。
こんなに興奮したのは久しぶり。
もう一度劇場へ行こうと思う。
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