「死の床で甦る 美しい記憶」チキンとプラム あるバイオリン弾き、最後の夢 kakerikoさんの映画レビュー(感想・評価)
死の床で甦る 美しい記憶
本作の主人公、ナセル・アリはバイオリニスト。最愛の人だったイレーヌとの愛をあきらめたことによって、彼の辛い魂のかけらが 一つの吐息となり、美しい音色を持った芸術を生み出したということ。
なんて切ない悲恋と運命の物語かと思いますが、それだけではなく、こちらの印象的な色彩やアニメーションなど、映像で趣向を凝らしいる部分も充分楽しめました。
また悲劇の男アリも、マチュー・アマルリックの魅力なのでしょうか。
死へ向かう8日間もそこまで悲劇的にはどうしても思えず、ちょうどいい緩加減で、本のページを遡るような感じに、記憶の紐をほどいていく感じでした。
ただ、終盤に一気にメロドラマ調になると、清らかなイレーヌの伝えられなかった思いを垣間見ることになり、忘れがたいラストになったと思いました(3.8点)
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