「こんなに綺麗な人がこの世にはいる」チキンとプラム あるバイオリン弾き、最後の夢 きりんさんの映画レビュー(感想・評価)
こんなに綺麗な人がこの世にはいる
それにしても
「男の子のおもちやを壊す」のはご法度です。
男の子の宝物を壊したり勝手に捨てたり、これは一生許せない心のしこりになります。言葉のあやではなく一生癒えない失望と敵意だけがPTSD として残るんですよ!
僕は古い真空管ラジオを家人から「ゴミだと思った」と捨てられてしまったんですが。
ナセル・アリにとっては「ヴァイオリン」と「思い出」は命。
それは大切な宝物で、命の支えだったのです。
「たかが楽器」、この妻の一言で楽器だけでなく夫婦仲も修復不可能になりました。
「仕事より夢より私を愛して」と夫に要求するのは結婚生活における最大の禁句なんですがねー。
おとぎ話仕立ての悲恋物語でした。
パリ在住のイラン人女性漫画家が原作者。女性なのにここまで男の心を見破るとは、アーティスト恐るべし。
あるある感がふんだんで笑えたりもしますが、おとぎ話って真理契機を秘めていますから心に残るのですね。
他レビューにもありましたが妻や子供をほったらかしのこの男を責めるのはナンセンスです。理屈や常識のお話ではありません。
だれも納得は出来ない人生の不条理。しかし「これが人生なのだよ」と語るのがおとぎ話。
エンディング、
彼のヴァイオリンがラジオから流れて涙するイラーヌ。泣けます。
イラーヌ役のゴルシフテ・ファラニの関連作を調べてみようかと思ったがやめました。
美しい彼女の思い出だけを壊さずに僕もそっと心のうちに秘めておきたいと願うほどの出逢いです。
バーグマンの娘、マストロヤンニとドヌーブの愛娘、そしてこの煌めく銀幕の恋人イラーヌ。
壮々たる出演者。
ジャスミンの押し花が切ないね。
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