「王に相応しかった男」王になった男 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
王に相応しかった男
韓流はそんなに好きじゃないけど、韓国映画は割と好き。面白い面白くないの差が激しいが、本作は当たりの方。
面白かった!
17世紀、朝鮮時代の韓国。暗殺を恐れ暴君と化したクァンヘグンは、自身にそっくりな道化師ハソンを影武者にする。そんな時、クァンヘグンが病に倒れ、ハソンは王の代役を務める事になる…。
実在の暴君に影武者がいた…というフィクションとノンフィクションを巧みに融合。
宮廷劇なので抵抗してしまいがちだが、中身が実に充実していて飽きさせない。
突然王の影武者となったハソン。
忠臣から厳しい指導を受け、慣れない日々に悪戦苦闘。
道化師なだけあってハソンの一挙一動がコミカル。
笑えるシーンも多い。
頼りなさそうで危なっかしいハソンだが、いざやると、見事にこなす。
影武者とは言え“王”なので、政治にも関わる事になる。富裕層に甘く、民衆に厳しい政策に疑問を抱くようになる。
国政を見直し、事情を知る側近や宮廷に仕える人々をも魅了し始める。
それは、心が離れてしまっていた王妃も例外ではなく…。
人が変わったような王に、政敵は疑惑の目を向ける。やがて、ある証拠を掴み…。
陰謀渦巻く宮廷劇の醍醐味もばっちり。
やはり最も引き込まれるのは、王としての自覚が芽生えていくハソンの姿。
本物より王に相応しいのでは…?
国のトップに立つべき人物とは…?
見る者に問いかけ、感動的ですらある。
イ・ビョンホンが王と影武者の一人二役を熱演。王役では冷徹に、影武者役では人間味たっぷりに、演技力を見せつける。
イ・ビョンホンの一人舞台ではなく、周りの登場人物の描写もしっかり描かれている。
側近のホ・ギュンとチョ内官は印象的。護衛のト部将と毒味役のサウォルは泣かせる。王妃役のハン・ヒョジュは美しい。
宮廷内の美術や豪華絢爛な衣装には目を見張る。
好きな韓国映画のリストに、また一本、新たな作品が加わった。
満足度は高い!