「胸がとにかく熱くなる映画、シリーズ化熱望」任侠ヘルパー みさえさんの映画レビュー(感想・評価)
胸がとにかく熱くなる映画、シリーズ化熱望
映画を観た後に、こんなに心に残るのは久しぶりだ。
彦一の熱い気持ちが、画面から痛いほど伝わってきて、自分も何かやらなきゃなんて切迫感にさいなまれる。
暴力シーンがあんなにも美しく、神々しく見えたのは初めてかも。映画途中、生々しい表現も多々あるが、殴れば痛いし当然のごとく血も出るし、顔も腫れる。そんな人間らしさ、生々しさが、実にリアルで反対に暴力に対する畏怖とか、嫌悪とか、がきちんと表現されてることに感心する。決して暴力を美化しないが、殴られることによって、弱いものを守ろうとする男の美学が結集し、物悲しい、哀切さえにじみ出る最後のリンチシーンの表現には圧倒された。
彦一演じる草彅剛の、緻密で繊細で、的確な演技力は、最初から最後まで一切ぶれることなく圧巻!この方は、こんな日本でアイドルなんかやってる場合ではない。世界の舞台に早く飛び出してその抜群の演技力で世界を魅了してほしい。そう思えるほど、素晴しい演技を見せてくれた。彦一という破天荒な生き方の人物を、口は悪いがその心根のよさを、全身全霊で演じ、彼の行動すべてを観客に納得させたと思う。
安田成美、香川照之も、脇をきっちり締めてすごかった。草村、品川はじめ認知症老人達の名演技,子供達、キャバクラ嬢、宇崎、杉本はじめ極鵬会の面々、そして堺正章、全ての役者がパズル合わせのようにぴったりはまった完璧な映画だと思った。
劇場で見ないと、この映画の凄さはなかなか伝わらないのでは。
なぜこんな良作を早々と撤収しようとするのか?東宝の映画を観る目のなさには今回限りはほとほと呆れてしまう。
こんな素晴らしいメッセージも含んだいい映画、介護問題はまだまだ限りなくやることはあると思うので、ぜひともシリーズ化して、多くの方に届けてほしいものだ。映画製作会社に一考を望みたい。