「介護をコメディタッチ?!無理があるのでは?」任侠ヘルパー 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
介護をコメディタッチ?!無理があるのでは?
2012年。同名テレビドラマの劇場版。
筋運びも、ストーリーも意外なキャスティングも良くて中々面白かった。
ヤクザから足を洗ってコンビニ店員をしていた翼彦一(草なぎ剛)はひょんなことから
ヤクザ組織極鵬組の世話になることに。
仕事は老人の年金や生活保護をかすめ取り安価で劣悪な介護施設の運営を任されるのだった。
その介護施設の環境が目を覆うばかりで、幾らなんでも行政の許可が下りない・・と、思う。
元ヤクザの堺正章の娘が安田成美です。
その彼女が母親の認知症に悩んでいて、同級生で代議士(弁護士でもある)の香川照之の世話で入所した施設に母親は適合せず、認知症が悪化してしまう。
借金に来た安田成美に、草なぎ剛は自分の施設に入所しせる。
そして大掃除と内装を綺麗に改装して、見違えるような介護施設に変化させるのだった。
お年寄りも生き生きして、成美の母も回復する。
母親が草なぎの刺青を見て、別れた堺正章と錯覚するあたりは楽しい。
安田成美もすっかり草なぎを信頼して・・・
この辺り、とてもいい話ですいい展開です。
ところが極鵬組が市の入札に絡んできて、後ろから手を回して香川照之を
入札から手を引かせて市の利権を独り占めを企む。
怒った草なぎ剛は、入札会場に殴り込みをかける。
草なぎを敵とみなした極鵬組組長は、介護施設に放火して焼き払ってしまうのだった。
(いくらドラマを盛り上げる演出とは言え、介護施設を燃やす必要はない)
そして草なぎを殺そうと極鵬組は全員で襲ってくるのだ。
その喧嘩が殴り合いばかりで、ナイフやハジキを使わないのも疑問です。
結局はヤクザモンは刑務所しか行き場が無い・・・そう暗示するラストは、男のロマンのカケラもない。
すごく面白い展開のドラマなのにラストがなんとも惜しい。
なにか、元ヤクザの生き様として、草なぎ剛には介護施設を建て直して、施設長として腕を奮って欲しかった。
これでは、焼きだされた老人の行き場は何処にあるのか?
また介護難民が増えるだけでは?
(夏帆も風間俊介も好演でした)
面白いのに何故かガッカリする映画だった。