「ユアイン」ワンドゥギ pigeyesさんの映画レビュー(感想・評価)
ユアイン
全然悪くない。大阪舞台で語られるようなよく見る物語なのだけれど、日本では最早井筒和幸系の小林基太郎とかしか撮れなくなったゆるい人情ものをちゃんと成立させている。障害者を父に持つ不良少年が、自分を捨てたフィリピン人の母親と再会して、新しい黒のパンプスを買ってあげるなんて話を、山田洋次的に垢臭くどぎついヒューマニズムに拠るでもなく、阪本順治的にドスの効いたリアリズムに回収するでもなく、さらっとゆるく成立させる手腕は結構貴重な気が。薄味で、ジャンクでもなく、でも良い感じってなかなか出会えない。学校青春ものであり、階級闘争ものであり、キックボクシングや恋愛もはさみつつ、韓国で540万人動員って、やっぱり韓国の文化受容基盤は凄くちゃんとしてる。
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