「若手ならでは。」クロニクル ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
若手ならでは。
1000円均一の上映作品を、レディースデイに観てしまった。
なかなか面白い。モキュメンタリー方式の撮り方をしているが、
(ファウンドフッテージ・スタイルというらしい)
前半で能力を得た三人の夢のような学園生活が描かれたかと思うと、
後半でいきなり暗転、ラストはもうグチャグチャな展開になっていく。
ひと昔前の特殊能力モノなら何もここまで暗転させないだろうなーと
YouTube世代との温度差を感じつつ、今の少年はこんなことに夢中に
なったり、没頭したりするのか、こうやってイジメを克服するわけか、
など勉強になったシーンも多々あった。うわ、監督は'85年生まれかぁ。
まぁ若者でなくても、特殊能力を身につければきっとおかしくなる。
非日常に於かれた時間が、その人間をどう左右し変えていくか。
各々の持ち味や性格を漂わせつつ、順応する人間と呑みこまれる人間に
分けて描き、やがて暴走する一人を止めることに必死になっていく二人。
家庭不和や困窮、心の病を抱える主人公という意味で暴走もあり得るが、
普通主人公をあんな状態に持っていった挙句に、ああしちゃうものか?と、
本当に後半は首を傾げるほど内容がガラリと変わってしまうのに驚いた。
確かに誰かが撮った動画ならば、起承転結なんてないのだろうが、
作品として観てしまうと、脚本はどうした?構成は?なんて思っちゃう。
主人公を演じたD・デハーンは、若い頃のディカプリオにソックリ。
ちょっとした表情や台詞のやりとりになぜか懐かしさを覚えてしまった。
いとこ役のA・ラッセルとは対照的な線の細さ。そんな彼が次第に暴力的に
なっていくのは驚くほど怖い。が、何とも切なすぎやしないか、あれは。
若手ならではの創造性に溢れた一本。首都圏限定公開だったのね。
(もうこういうのを観ても驚かないけど、次は出来の良さで驚きたいわ)