「これこそPOVの正しい使い方!」クロニクル kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
これこそPOVの正しい使い方!
最初はスローテンポな青春物語なんだと感じていたが、徐々にシリアスな展開に・・・『超能力学園Z』などのように悪ふざけ学園ものにも共通するイタズラオンパレードかな?とも思ったほどだったが、車に煽られて怒ったマット(デハーン)がテレコキネシスでその車をガードレールを破らせ転落させてしまい、危うく事故死させてしまうシリアスな場面。マット(ラッセル)は人に危害を使わないようにとルールを作ろうとするが、アンドリューは浮かない顔・・・
アンドリューの父親は元消防士で今は失業保険で生活し、しばしば彼に暴力をふるい、母親は病気で寝たきり状態。3人の中でただ1人童貞だったため、黒人で生徒会長に立候補中のスティーヴ(ジョーダン)は学園で彼にマジシャンとして人気者にさせたりとする。しかし、初体験間近のパーティで飲みすぎたためにアンドリューは大失態。そして失意のもと、崩壊寸前の家族のこともあり、空を飛び回っていたが、彼を落ち着かせようとスーパーマンのごとく追いかけてきたスティーヴが落雷に遭い急死・・・やがて母親の薬代が足りないため発作的に強盗を働き、暴走したためにその後大惨事へと発展する。単なる学園超能力モノから 『AKIRA』、『X-MEN』へと大転換するのだ!
安っぽいハンディカムでどうやって特撮を?などと、どうせ低予算だろうからと高を括るととんでもないのです。アンドリューのキャラはアメリカの学園モノならありがちな人物。しかし、従弟のマットは哲学書が好きなのに女の子にかなりモテる。スティーヴにしても人の顔と名前は絶対に覚えているほどの明るい政治家向きのキャラ。ネットの評価を読む限りでは、これだけ心情を表したPOVは珍しいというのが一般的で、まさしく同意。このカメラは誰の目線?と疑問に思うのも最初だけで、彼らにはカメラを浮遊させ自由に撮る能力があるのだから、そういう邪念さえ払拭してくれるからなのだ。
アンドリューの暴走を止めようと空中対決したマット。このときのマットの友情には涙なしでは見れない。美人ブロガーのケイシー(アシュリー・ヒンショウ)もマットにべたぼれだったが、空中で置き去りにされてからどうなったのかも気になる・・・ラストはアンドリューの行きたかったチベットまで行ったマットの独白。続編もあるのなら気になるところだ。