「冒頭、『2001年宇宙の旅』のオープニングを思わせるような宇宙空間...」アンダー・ザ・スキン 種の捕食 りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
冒頭、『2001年宇宙の旅』のオープニングを思わせるような宇宙空間...
冒頭、『2001年宇宙の旅』のオープニングを思わせるような宇宙空間らしき映像。
大きな中空の球体が瞳につながる・・・
スコットランドの田舎町。
郊外で若い女性が殺害され、身ぐるみを剥がれる。
死んだ女性の衣服を身にまとったのは、これまた若くて美しい女性(スカーレット・ヨハンソン)。
「彼女」は大型車を運転し、男たちに声をかける。
外国からの移民、貧しい若者など、社会的に打ち棄てられた感のある男たちだ。
自宅に誘うが、自宅と称する空間は漆黒の闇。
全裸の「彼女」に誘われた男たちは別の空間に吸い込まれていく・・・
といった物語で、低予算なロケとシンプルなセットで構成された、アーティスティックなSFスリラー。
スカーレット・ヨハンソン演じる女は外宇宙から来たエイリアンらしく、男を捕食しているのだ。
途中、病気によって「エレファント・マン」のような顔になってしまった青年を捕まえるが、それまでのように捕食しない。
「彼女」がなにかに絆されたのか、そこのところはよくわからない。
次々と男を捕食していたが、その美貌が徒(あだ)となり、冬の森林で、森林警備員に襲われてしまう。
衣服をはぎ取ろうとした警備員は、「彼女」の皮膚まではぎ取ってしまい、皮膚の下に隠された「彼女」の正体がむき出しとなり、恐怖に駆られた警備員に燃やされてしまう「彼女」・・・
捕食する側が捕食される側へと転換するのだが、その原因が「女性の美貌」というあたりに、この映画(原作も含めて)の意図があるように感じられる。
が、うまく伝わってこないのが残念。
ジョナサン・グレイザーは元々、音楽プロモーション映像畑のひとだったらしく、アーティスティックな映像を撮りたいのだろうなぁ、と思う。
作品の見た目は、本作も『関心領域』もそれほど変わらないが、後者は見た目を徹底した分、題材と相まって世間的な関心が寄せられたんだろうなぁと感じた次第。
不穏な音楽のつけ方とかも『関心領域』に似ています。
本作、観終わってすぐに脳裏を過(よぎ)ったのは、ニコラス・ローグ監督『地球に落ちて来た男』。
どちらも美貌の異星人、最後は地球人にスポイルされてしまう・・・