「ド直球モンスターパニック」マンイーター Minaさんの映画レビュー(感想・評価)
ド直球モンスターパニック
てっきりサム・ワーシントンが主演だと勝手に思っていたが、普通の脇役だった。物語上重要な鍵を握る役柄でも無く、中盤あたりでワニの胃に収まってしまう。実際の主人公は「サイレントヒル」でお馴染みのラダ・ミッチェルだが、今思うと脇役含め豪華キャストの作品である。
小島に取り残された人々が巨大ワニの餌食になるという設定だが、王道かつシンプルな構成で、この手の作品にありがちなスプラッタ表現、無駄なエロはほとんど無く、ブレない怖さを漂わせた良作である。ワニの攻撃性や特徴を生かした部分と、エンターテインメント性を際立たせた演出もどちらかに傾倒する事無くバランス良く仕上がっている。「アバター」で注目を集めたサム・ワーシントンだが、2012年公開の本作の方が若く見えるだろう。というのも、本作は2006年に製作された作品だからである。今まで日本でメディアに露出しなかった理由は不明だが、主演でもないのに日本版パッケージでは中央に据えるサム・ワーシントンを見ると、「アバター」の便乗という事が手に取る様に分かる。それだけを聞くと残念な作品に思えるが、作品自体はかなりのクオリティを誇る物である。サメには「JAWS/ジョーズ」、「ディープ・ブルー」という名作があるのに対し、ワニには中々陽の光が当たる作品が無い。その中で本作は異質を放つ完成度である。パニック映画好きには是非ともチェックしてもらいたいのだが、作品自体は地味であり、このまま「隠れた名作」的な扱いになってしまうのか心配である。
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