「絶望の国」希望の国 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
絶望の国
園子温が描く、震災後の日本。
監督の現状に対する訴えたい事は分かる。原発問題への怒りも分かる。タブーに挑んだ意欲は素晴らしい。
が、何もかも過剰にしか思えなかった。
僕は福島県内の原発から数十キロも遠く離れた街に住んでおり、放射能値も極めて低い。生活に何の支障も無い。
しかし、映画では、放射能は目に見えないだけで身に迫っており、若夫婦は生まれてくる子供を案ずる為とは言え、防護服を着て、比較的放射能値が低い所でもガイガーカウンターを持ち歩く。
震災後、原発区域からは避難しても県内に留まり生活を続けている人は多くいる。中には、子供を抱えた若夫婦もいる。
映画では子供の事や身を案じない者はおかしいとも言っていたが、防護服を着て、常にガイガーカウンターを持ち歩く方こそ異常だ。
今も住み続けている人たちに対する侮辱だ。
また、避難しなかった老夫婦の末路。
ああでなければいけなかったのだろうか。
これじゃあ「希望の国」ではなく、「絶望の国」だ。
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