「すっぴんのエリカ。」ヘルタースケルター ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
すっぴんのエリカ。
沢尻エリカが突飛な言動を繰り返し、もはや復活するのは
ムリだな、と堕ちた時にもメディアは彼女を手放さなかった。
当時はそれがとても不思議だった。何を拘っているのかと。
パッチギ!以来、演技には定評のあった女優だけに当時は
心底もったいない~と思ったが、でも仕方ない。
こんな女優はこれから幾らでも出てくるんだし…と誰もが
エリカ様のマスコミ談議に飽き飽きしていたと思う。
その頃発売されたD・マツコの本には、こう書いてあった。
「この女、きっと2~3年後にはビックリすることやるわよ。」
おやまぁ、本当にそうなってしまった(爆)なんという見識眼!
蜷川実花の作品にはあまりいい印象がない。
色彩感覚には優れていても、ミスキャストと思われる選択や
内容の精彩のなさに、どうも今ひとつだった。が、
今回の作品で正に花開いた感じ。凄い出来映えになっている。
男性陣にとっては見たくもない(爆)アイドルの裏側が赤裸々に
描かれているが、誇張されているにしてもほぼ当たっている?
と思われる描写ばかりだった。今や人間と呼べるアイドルなど
果たしているのか…その、すっぴんの笑顔は整形の賜物じゃ?
体当たりともいえる見事な演技でエリカはそれに応えている。
自身の過去を垣間見るような壮絶な半生を全身全霊で演じて
どうよ!?と云わんばかりの印象を残した。この演技が元で
精神のバランスを崩した、と云われる彼女だけどそれも納得。
よく頑張ったとまだ年半ばだが、主演女優賞を贈りたいほどだ。
…というわけで、エリカ様の完全復活をまずはお祝い。
シッチャカメッチャカ、と云われるだけあって心底えげつない。
ほとんどがエリカ演じるりりこの発する言動に依る変質さだが、
巻き込まれる猛獣たち(爆)ともいえる大御所女優がまた面白い。
寺島しのぶ…まぁこの人もよくやるわ^^;と思う妙演を見せる。
周囲の男たちなど糞溜め(ゴメンね)ともいえる扱いで、
とにかくオンナ、オンナ、オンナ、の醜態とおぞましさに尽きる。
美と若さへの拘りがこれほどまで!?と、私ですらゾッとするが
でも、おそらくこれは本当だ。
ここまではしないにしても(爆)オンナにはこの変質的飢餓がある。
拘り過ぎて自滅するオンナ、あんなにキレイなのに幸せじゃない、
ブスでデブで身も蓋もないオンナが幸せになれるなどあり得ない!
…な~んて、常に思っているのだろう。
歳を重ねることは本当に人間の美を失わせるものだろうか。
幸福で活き活きとしている女性達は皆がモデル体型だろうか。
すっぴんというのは、身も心もありのままを言うんじゃないのか。
不細工なオバサンの遠吠えが自身にこだまする、この作品。
(沢尻エリカのこれからに期待。さらに磨きをかけて女優になれ!)