劇場公開日 2013年8月9日

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「熱い闘いの裏に描写テクの進化が見える」パシフィック・リム マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0熱い闘いの裏に描写テクの進化が見える

2013年8月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

興奮

謎の巨大生物に巨大ロボットで対抗するという、日本の怪獣映画とガンダムを足したような映画。
ただ、その一言で片付けてしまうと作り手に申し訳ない。
日本の怪獣映画やアニメにオマージュを捧げつつも、そこはハリウッドらしいテイストが盛り込まれ、我々が知る純粋な怪獣映画や巨大ロボものとは一線を画す。

まず、“KAIJU”は歩きまわって都会を壊すだけではない。意識的に人間を襲い、その出現の裏には目的をもつ。そして進化する。
人類の最終兵器“イェーガー”が“KAIJU”の進化に追いついていけなくなる絶体絶命のなかで、“KAIJU”の目的の解明と逆転劇が見どころとなる。

巨大ロボ“イェーガー”は二人一組でコントロールする。ただ操縦桿を握るだけでは動かない。二人の精神が融合する強さが原動力となって“イェーガー”が能力を発揮するところがミソ。コクピットの中での動きが“イェーガー”にシンクロして伝わる。歩くのひとつとっても体力勝負で、この仕組みがパンチを繰り出すたびに観る者を興奮させる。華奢な菊地凛子が頑張るものだから、余計に力が入る。これは菊地凛子の映画といっていい。“イェーガー”のデザインにお国がらが出ているのも面白い。

“イェーガー”のスケール感と重量感を存分に演出したVFXは同じILMによる「トランスフォーマー」をはるかに凌ぐ。動きは滑らかだが、まだまだベタな感がぬぐえなかった「トランスフォーマー」と違い、ひとつひとつのコマに処理されたブレの描き込みが緻密になり、実写のような躍動感を得た。この2本の差は大人と子供ほどの開きがある。
同じフレーズの繰り返しながら強烈に耳に残る音楽といい、制作陣の熱気が伝わってくる。

マスター@だんだん