ゼロ・グラビティのレビュー・感想・評価
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主役は森羅万象?
宇宙とはどんな存在か?地球とはどんな存在なのか。
あくまで存在している森羅万象とはいったいどのように計ればいいのか。
自分にはそれらを伝える為に創られた映画のような気がした。
二人が繰り広げるアクシデントやドラマはそれらを伝えるためのガシェットであり、
主題ではない様な気がする。途中で「人生とは何か」と考えさせるシーンもあるけど、それですらガシェットだと思う。だから、主人公二人が助かっても、どちらかが助からなくても、どちらも助からなくても、映画的にはそれはどちらでもいいのではないだろうか。これはジョージ・クルーニーやサンドラ・ブロックが演じる二人の主人公を通して、宇宙というものを感じる映画。それだけだと思う。胸に大きく響くものは確かにある。
サンドラ・ブロック独演会
とにかく8割方サンドラ・ブロックの一人芝居だが、ダレることなく引き込まれあっという間に終わった感。無重力や真空の表現がリアル(に見える)で、それが後で効いて来る。
ジョージ・クルーニーもいい味出してて、7日間もベラベラしゃべったであろうシーンはきっと編集でカットされたと思われるが、却ってそれでシンプルなストーリーが際立ち、特撮や音響も相俟って素晴らしい作品に仕上がったのではないかと思う。
ところで、人間は真空にさらされると全身の血液が一瞬で沸騰して死に至ると聞いたことがあるが、最終的にはああなるんであろうか…
自分も宇宙飛行士
普通の映画館の3Dで鑑賞
90分だけど話のテンポと映像美で短く感じた。
話の内容がもし本当に起こったとしてもそのくらいの
出来事くらいではないだろか(実際はも少し長いか・・・)
あたかも自分も事故に遭遇したような感覚になり
無意識のうちに息を留めたり、飛来物によけたりした。
スペースシャトルやステーションはかなり安全な乗り物と思っていたが
スペースデブリの雨あられではひとたまりもなくバラバラになるほどやわな
物か・・ いやデブリが凄いのだという事か!
そんな中彼女が生き延びたのは、ほとんど運ではないかと思う。
他のほとんどのメンバーは死亡したのに彼女だけ運良く物に当たらなかったり
破片がかすめていったりとか (まあ、主人公ですから・・・)
主人公のサンドラ・ブロックも素晴らしい演技をしていたが、
もう少し違う女優の方がもっとはまり役だったような・・・
何となくこんなに大変なことになっているのに、
のんびりしているような感じに見えた。
それと、果たして3D見るほどの映画なのか!? 3Dメガネをかけると
スクリーンが暗いし、ネジとかが手前にふわふわ飛んでくるくらいで
別に2Dで見た方がいいような感じに私は思った。
最後にいつもこの様な物が壊れる映画を見ると、この事故、事件の後の
損害賠償とか事故責任は誰が取るのかとか別にいい事を考えてしまう。
今回の場合は、ロシアに責任を取ってもらって、関係各国に何百億円という
賠償金を払うことになるのか・・・
絶対に3Dで観るべき作品
登場人物も少ないし、まもなく地上との交信も途絶するので、ほぼサンドラ・ブロックとジョージ・クルーニーだけで物語が進行する。
逆に,登場人物が少ない事が話しが分散せず「宇宙からの帰還」に向けでシンプルになり良かったと思います。
3Dは宇宙空間を描くには有効で、自分がその場にいるかの様な錯覚を覚えます。
しっかし、酸素残量も少ないし、トラブルは続出して絶体絶命なのに「安心感」があるんだよなぁ〜。
ハリウッド映画だから絶対に無事に帰還するんだろうよ!という(笑)
しかも、地上に帰還した後に、いきなり自力で立ち上がったのには驚いた。
ハラハラドキドキしながらも安心して観られる地味だけどそこそこリアルな良作です。
クルー兄のテーマ。
かなりの宣伝文句に(アカデミー賞確実!だって)早く観たいと
思わせる期待作だったけれど、映像以外は印象に残らなかった。
宇宙空間の無重力状態を圧倒的な映像美VFXで魅せたのは凄い。
真っ暗な闇が広がる宇宙空間が奥の奥まで見通せるような臨場感。
映像体験としては、確かに素晴らしかったと思う。
音のない宇宙空間なんだけど、常にラジオからの音楽みたいな
軽快なメロディが、まるでJ・クルーニーのテーマのように流れてて、
こっちも意外と飽きさせない。
音楽よりも私はサンドラがギャーギャー喚く声の方が煩さかったな。
これ、もちろんこんな極限状態で、しかも経験値ゼロ・グラビティでの
話になるので想像もつかないことだけど、個人的に一番の問題点が
私にはサンドラが、ど~しても、博士には、見えないことだったのだ。
(ゴメンねぇ、ホントに)
どうも私にとってのサンドラ嬢は、下町の威勢のいいおねいちゃん。
ややオバサン化したとはいえ、顔もキレイだしスタイルもいいので、
特に申し分はない容姿なんだけど(ホントは仕事でも才女だしね)
何だろうな、昔のメグ・ライアンみたいな感じでイメージが沈着する。
この人にはコレ。のような思い込みが強すぎて、どうしても博士??
という風に最後まで見えなかった。やはり下町のおねいちゃんだった。
だって何か起こる度に「クソ!」とか「バカみたい!」とか言うしさぁ。
彼女に知的な部分を見出せぬまま終わってしまったのが悔しかった。
そこで、それを埋めてくれたのが、我らがダグ兄ことクルーニー。
宇宙遊泳記録を作るなんて、まさに彼ならではの役どころじゃないの。
さらに不測の事故によって彼は不幸な結末を迎えることになる。
なのに!何だろう、あの再登場シーンでは劇場が笑いに包まれたぞv
彼あってこその危機脱出、彼あってこその地球への帰還だったのね。
ここが笑えて、一番泣ける箇所でしたねぇ、私にとって。
あとはもう、ドラマというより映像の無限な広がりを楽しむ映画。
これが90分で終わる意味が、観てみてよ~く分かったというところで、
おそらく好き好きは分かれるけど、体験しておくと勉強になる作品。
(しかしロシアで爆破、中国に救われるっていう^^;いかにもな展開)
3Dでみないと価値はわからない!
これ、2Dと3Dを一回ずつみました。内容は本当単純で、宇宙で漂流。その後色々あって地球へ戻るのですが、予告編にでていた有名なシーン。博士が、棒に振り回された後、一人で漂流しちゃうあれ、あのままどっか行ってしまうのかと思ったらすぐに救出されちゃうんですよね。すごく残念でした。まぁ最後のほうで文字通り一人で漂流してしまうのは間違いないんですがそれまでの間もう一人の人と二人で行動するんです。そのせいか少し安心感がありました。ほんの少しですけど。でも少しあるだけで宇宙の怖さが三割ほど失われてしまいます。そこだけ気になりました。僕が言いたいのは2Dで見たらCGのすごさも宇宙での活動のリアリティも伝わらないということ。それらが伝わらなかったら、もうただの映画です。なんの特徴もない、普通のSFです。3Dの映像もすごいですね。宇宙の中にいる感じも、当然味わえますが、その感動よりも宇宙の怖さ。宇宙には行きたくないという印象を植え付けられます。この怖さも宇宙に実際にいるような感じから生まれるのですがとにかくハラハラドキドキします。酸素がなくなって危ない時に息を一緒に止めてしまったり、飛んでくる破片をよけたりしてしまいます。これも一つの面白さだと思います。宇宙での活動。それと主人公が女性ということもあり、そこは掴めるだろー!とかもう少し力をこめろー!とかもどかしい所もあります。でもそこがリアルで面白いんですよね。ハラハラ感を引き立てます。一番印象に残ったのは地球の前を博士ともう一人の男の人と移動している時、日の出を一緒に拝むシーンです。あそこは綺麗で宇宙の怖さではなく神秘をこの映画で初めて感じました。ここだけは本当に怖さを忘れられます。このあと絶望するシーンがありましたがそれはさておき、こういう映画での神秘的なシーンは人を虜にすると思います。上手い見せ方だなーと思いました。
宇宙。それがどれほど危険なものでそこへ行く人もどんな危険と隣り合わせか改めて実感させられるすばらしい映画でした。
凄い映像と深いテーマ……に乗れなかった理由
「宇宙では、あなたの叫びは聴こえない」というのは
『エイリアン』公開当時の傑作宣伝コピーだが、
この作品の宣伝コピーとしてもピッタリじゃないかと思う。
いやー、こわいこわい、こわいこわい映画でしたね。
宇宙船外作業中に宇宙へ投げ出された主人公がサバイバルを
図るというシンプルな筋立てだが、約90分のタイトな上映時間に、
ありとあらゆる宇宙の恐怖が詰め込まれていて、息つく暇もない。
* * *
酸素が足りない、死ぬほど寒い、気圧は殺人的に低い、
無重力だから自力で移動できない、帰還用のシャトルは破損、
そしてもちろん、誰も助けに来てくれない。
今まで色んなサバイバル映画を観てきたつもりだけれど、
ここまで絶望的な状況というのも珍しいんじゃないだろうか?
こうやって見ると地球ってほんとに恵まれた星なんですね。
ありがとう地球、と壮大なスケールの感謝をしてみる。
なんといっても凄まじいのは、全編ハンパない臨場感の映像。
長回しの多用とリアル極まりないCG映像も相俟って、映画を
観ているというよりドキュメンタリーか何かを観ているかのよう。
宇宙に投げ出され、まっ暗闇でひとりぼっちになった時の恐怖と
絶望感たるや! こういう映画にこそ『映像体験』という言葉が
しっくり来ます。
テーマ性も高い。帰りを待つ人もいないのに、それでも
生き残りたいと願うのは人間の本能か、それとも生きたいと
願いながらも死んでいった人々へのせめてもの感謝か。
サンドラ・ブロック演じる主人公の突き抜けたような笑顔が良い。
水や土や陽光の重量さえも感じられるかのような、生きると
いうことの重みと喜びがずしりと伝わるラストシーンだった。
* * *
と、ここまで絶賛しといて満点の5.0判定を付けないのはなぜか。
映像は凄い、サンドラ・ブロックとクルーニーの演技も好き、
物語もサスペンスフル、テーマの深みも感じるし、いくつかの
シーンでは涙も流した。
だがそれでも観賞後、余韻に浸り切れないというか、
今ひとつ釈然としない気持ちが残ったんすよ。個人的に。
傑作傑作と宣伝するものだからハードルが上がりすぎていたのか、
はたまたアカデミー賞最有力候補なんて呼ばれるのを見て
ヤッカミのひとつでも入れたくなったのか(笑)。
まあそれも3%くらいはあるかもだが、多分不満はそこじゃない。
* * *
なかなか説明するのが難しいのだが……この映画は
ドキュメンタリックな部分とドラマチックな部分とが
若干の不整合を起こしているような印象を受ける。
例えば結論を押し付けるようなドキュメンタリー映画に対して
感じる不満。映像が事実だからといって結論まで事実とは
限らないのに、それを事実に見えるよう編集・修正してしまう
危うさやいやらしさというか。
僕の不満は多分それに近い。
映像がドキュメンタリーに近い印象を受けるだけに、
終盤のメッセージ性が強すぎて“押し付けがましさ”が
生じてしまったように感じられてならないんです。
完全にドラマだと割り切れる作りならそんな不満は抱かなかった
と思うが。(ものすごくシビアなサジ加減の話をしているという
ことは自分でも重々承知している)
とりわけ、音楽。シンプルな物語に対して音楽が饒舌過ぎる。
ここぞとばかりに鳴り響くコーラスは、僕にとっては
生の素晴らしさを“謳う”というより“がなりたてる”
という印象に近かった。
* * *
凄い映画だと頭で考えてはいるので4.0判定だが、
そんな訳で今ひとつ好きになり切れない。
ま、そういう稀有な意見の人間もいるってなことで。
ところでエンドロールで気付いたが、NASAの管制官の声を
演じてたのはエド・ハリスでした。まさか、アポロ13の
あの人と同一人物じゃないよね(笑)。
〈2013.12.14鑑賞〉
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余談:
にしても、ここまで上映環境に左右される映画、
そして観客に沈黙を強いる映画(笑)も珍しい。
咳払いひとつするのもちょっとためらってしまうくらい。
3D映像はもちろん、サラウンド環境、微細な効果音から
大音量のスコアまで再現できる音響設備が揃って初めて
真価が発揮される映画。2013年現在の最新技術あってこその
映画である。ホームシアターを所有されている方こそ、
この映画を最大限に楽しめるのかも知れない。
ま、IMAXはおろか映画館も無かった田舎出身の僕としては、
ホントはどんな環境でも楽しめる映画が最良だと思うんすけどね。
ホームシアター? お金無いからムリ!
本当は怖~い宇宙
見た感想はスゴイの一言。最初はあまり盛り上がらない。けどクライマックスになるにつれて徐々に上がってくる。
サンドラ・ブロックの演技もよかった。でもまさか、マットが死ぬとは・・・
映像はかなりクリアで自分は2Dで見たけどそれでも満足できた。とにかく神秘的で今年の映画のなかで完成度の高さはかなり上の方だろう。
3D IMAXで観賞。
3DIMAXで観賞して正解でした。映像がすばらしい。映像が主役です。
話はつまらない訳じゃないけど、そんなに特筆すべきことはありません。敢えてのシンプルなのかな。
こんだけ科学が進んでその最先端のロケットや宇宙ステーションでも、トラブルになったら物を掴む握力と腕力が命綱なんかい、と思いました。
危機はほぼそれで回避してたような。
宇宙空間の描写は圧巻
3Dの吹き替え版で鑑賞。宇宙空間(衛星軌道)における無重力状態での災害描写は秀逸で、完全に従来の宇宙映画とは一線を画している。この作品は是非3Dで観ることをお勧めしたい。
ただ作品全体としては気になる点もある。まずこの災害のきっかけであるロシアのスパイ衛星の破壊について、何らかの事情で人為的に爆破され、更にその破片が他の人工衛星を次々に破壊して軌道上がデブリだらけになるというのは、あまりに安易で乱暴な展開ではないだろうか。別にミサイルを乱射している訳ではなく、デブリが衝突したとしても基本は貫通または衝撃を与えるだけで爆発はしない筈なので、元の位置から大きく移動する可能性は低いだろう。もし爆発または大規模な破壊を起こしたとしても、その時は軌道が変わるか破片が四方八方へ(慣性に従って)飛び散って行くと思うので、多くのデブリがスペースシャトルやISS、果ては中国の宇宙ステーションと同じ軌道を平行に飛び続けることは考えにくいのではないか。
谷甲州のSF小説に出てくる宇宙魚雷(爆雷)は、敵艦の近くで自らが爆発して多くのデブリを形成し、その爆散円(球)に敵艦を巻き込むものだが、この作品のデブリはそれ以上に破壊力がありすぎる。
主演はサンドラ・ブロックとジョージ・クルーニーであるが、実際にはほとんどサンドラ・ブロックの独り舞台で、ジョージ・クルーニーは大部分宇宙服姿でしか登場しない。ライアンを励ましに現れる幻影(夢)は、ジョージの素顔を見せるためにとって付けたようで、何とも不自然に思える。
ISSの火災を消そうと試み、それが無理と判断してソユーズに逃げ込む時に、何故消火器を持ち込むのか不思議に思ったが、中国の宇宙ステーションに接近する時の姿勢制御に使うのを見て納得した(ISS内で消火器を噴射した時にその反動で飛ばされそうになった描写が伏線になっている)。
最後は中国の宇宙船のカプセルで無事帰還するのだが、大気圏に進入(突入)する時の角度は厳密に設定しなければ失敗すると思うのだが、特に確認や修正したシーンもないのも疑問だ。もし事前に中国人が宇宙ステーションの進入角度を設定していたとしたら、地上への被害を最小限にするために、できるだけ燃え尽きるようにしていた筈だ。
私の知識不足で誤解があるのかもしれないが、折角リアルな宇宙空間の表現に成功しているのだから、その他の細かい点についてももう少し丁寧な描写(または説明)が欲しかったと思う。
適当な断言や嘘に騙され無い様に。
あり得ない展開、都合の良い展開という感想が色々な所で散見するけど、断言する前に少しでも調べたのでしょうか??と聞きたい。
というか、ある程度は都合の良い展開無くして映画は成り立たないと思いますけど。
この映画はある程度どころかリアリティが高いと思いますよ。
はやぶさのイトカワミッションの超奇跡的帰還に比べたら想定内的展開では。
勘違いされやすいポイント(ネタバレ有り)
ソユーズは現実に国際宇宙ステーション(ISS)の緊急時脱出・地球帰還用として機能しています。
そのソユーズを基本とし、帰還方法や衝撃緩和システムも同じである中国の神船を操る事は無理な設定では無い。
宇宙ステーションの軌道でアマチュア無線やインターネットが繋がるのも事実。
有り得ないと言えば、何度も危機を乗り越えたあの握力は火事場のクソ力ということで(笑)
映像美に惑わされて。。。
これは個人的には問題作ですw
まず、全然面白くないし、感動しません。ストーリーが薄いです。
それと、明らかにジョージ・クルーニーがミスキャストです。
会話にジョークが多すぎ、あのスマイルが船外活動の緊迫感を大いに下げています。
それと、そんなにうまく帰還できるかぁ??と。
映像がリアルなのに、ストーリーがリアルじゃないんです。
残念な映画でした。
今になってアポロ13の良さを再確認しています。
人間の美しさに目を惹かれた
サンドラとジョージが切り離され、サンドラが一人でISSに戻った時、機内で宇宙服を脱ぎ捨て、胎児のように回転している姿、エンディングの地上に降り立ち、地を踏みしめる姿に人間の美しさ、力強さを感じた!!
ストーリーが秀逸
映像美もさることながら、ストーリーにやられてしまいました。
なんと女性宇宙飛行士のライアン(サンドラ・ブロック)は胎児のメタファー。この映画はライアンが生まれ変わるお話なのです。「ライアンメンタル弱すぎ!」と思われている方もいらっしゃるようですが、ライアンが成長する話なのでそこを指摘するのはお門違いでしょう。
ぜひ3DIMAXで!
3DIMAX試写会という何とも贅沢な試写会に招待いただきながら、レビューが後回しになってしまいました。
まずIMAXの真骨頂発揮で、まるでサンドラ・ブロックと一緒になって宇宙空間を浮遊しているかのような映像体験をすることができました。2Dや3Dで既にご覧になった人もディズニーのアトラクションへ何度も通うような気持ちになって、ぜひIMAX版の鑑賞をお勧めします。音場感と臨場感が凄いのです。
たった一人で宇宙空間に放り出される主人公が地球に戻るまでを描いた本作は、サンドラ・ブロックとジョージ・クルーニーのオスカー俳優同士の二人だけが共演するという究極のシンプルさ。台詞も少なめで、一つ一つの場面でキュアロン監督が仕掛けたメタファーとサンドラの演技力だけでドラマを進めていくという、出演者にとってはごまかしの利かない完璧な演技が求められた作品だけに、それを見事にこなしたサンドラに惜しみなく賞賛を浴びせたいと思います。
舞台は、地球の上空60万メートルのスペースシャトルの船外。青く輝く地球を背景に、ベテラン宇宙飛行士マット・コワルスキーの陽気なサポートを受けながら、ライアン・ストーン博士は通信システムの修復にあたっていました。彼女は、ハッブル望遠鏡の通信システムを修理するため、特別に招かれた技術者でした。そこへ作業中止の緊急連絡がヒューストンから発せられます。それは、地球の反対側で他国が爆破処理した人工衛星の破片(デブリ)が、ほかの人工衛星を連鎖的に破壊し、大群となって向かっているという警告でした。
地球を周回するデブリの速度は秒速8キロ。デブリの大群は瞬く間にライアンたちに襲いかかりシャトルは大破。ライアンは命綱を付けた宇宙空間へアームごと放り出されてしまいます。無重力空間では、一度力が加わると、その物体は永遠に動き続けるため、命綱を断ち切られたら漆黒の闇の中に吸い込まれていく以外なすすべはありません。
、冒頭からここまでの13分間が途切れることない長回しシーン。一気に作品世界に飲み込まれていきました。最初は傍観者だった観客も、遭難時点からライアン目線に切り替わってしまいます。何しろキュアロン監督は、ロングショットとクローズアップを繰り返す変幻自在のカメラワークで、心拍と無音状態を巧みに使い分け、宇宙空間の恐怖を突きつけてくるのです。これには思わずライアンの置かれた状況に感情移入してしまわずにはおれませんでした。
そしてライアンには、ゼロ・グラビティの宇宙空間の厳しさが襲いかかってきます。ヒューストンとの交信が途絶え、コワルスキーともはぐれてて、おまけに酸素は残りわずか……。宇宙での極限状態を描いたキュアロン監督の「アポロ13」を超える絶望的状況。そこには、漆黒の闇に青く輝く地球だけが眩しいくらいに美しく漂うだけでした。
とかく映像面に注目されがちな本作ですが、ライアンに託されたエモーショナルな表現にも注目してほしいと思います。幼い娘を事故で亡くした喪失感。それは地球へ帰還しても生きがいがなく、戻る理由がなのではないかというライアンの絶望に繋がったのでした。なので、中国の宇宙ステーションまでライアンが辿りついたとき、彼女は過酷な現状に打ちのめされて、生還を諦めてしまうのです。それを勇気づけたのがコワルスキーでした。ライアンとはぐれたとき、宇宙遊泳をしてここまで来たというコワルスキーの何ともいえない頼もしさ。ジョージ・クルーニーならではの存在感がたまりません。彼の説得でライアンは決意を新たに地球への生還を目指すのでした。
単なるパニック映画にとどまらないのは、その過程で彼女が生きる意味を見いだしていく姿が、力強く描かれているからでしょう。
それにしても、体の自由が利かない状況で、目と呼吸で恐怖を表現するしかなかったサンドラの渾身の演技が素晴らしかったです。身体が動かせない分、内面や感情をより深く掘り下げる必要がでてきます。全編を通じてライアンの思いはヒシヒシと伝わってきました。撮影では12本のワイヤを「人形師」と呼ばれる専門家が操作し、宙を舞ういう撮影方法だったようです。そして、高さ6メートル、幅3メートルの特殊装置の中に長時間、1人で閉じこめられたというからかなりのストレスを感じたことでしょう。彼女は、そんな撮影で感じた孤独感もライアンの感情演技に活用したのでした。
ところで、ライアンが体を丸める仕草がまるで胎児のように見えました。そして宇宙船内に浮かぶ水滴は、ライアンを潤すばかりでなく、生命の起源を象徴するものとしての「水」なのだろうと思います。
つまり、逆境を通じて生還への可能性を探るライアンはまさに胎児であり、地球は母の象徴として描かれているのでしょう。
だから、本作の本当の主役は地球ではないかと思えました。
実際に宇宙へ行った飛行士の中には、地上で繰り広げられる戦争や紛争といった人々の愚かさを痛感するようになったという声も多く聞かされます。クライマックスでは、生きとし生けるものへのいとおしさがスクリーンから強く感じられました。
魚から両生類やは虫類、さらに4足歩行のほ乳類から2足歩行の人間へといった生命の進化をうかがわせる表現も出てきます。カエルが泳ぎ、蜂が飛ぶ。大人になると、そんなことに関心さえ持たなくなってしまうもの。この作品では、宇宙から見た地球も意思を持った生き物のように描かれます。サンドラの旅を通して、母なる地球のかけがえのなさに気づべき作品なんだろうと思います。そしてライアンが生き延びようとしたように、人類が他の生物と違うのは、生き延びようとする意思を反映させることができるところにあるんだということが、キュアロン監督が本作に託した皆さんへのメッセージではないでしょうか。
奇跡の偶然の生還
物語の進行は無理があるものの酸素の無い大気圏外でどうやって生還するかが、リアルに描かれている。
しかしどうして中国の宇宙ステーションが存在するのか首を傾げる。
ISSはロシアも含めた国際宇宙ステーションなのに、中国単独で宇宙ステーションが建造されたり、神舟で宇宙ステーションにドッキングできたりする技術があるはずが無いと思う。
この辺で、合衆国は中国の急速な宇宙開発技術を警戒している気もする。
現実に月面着陸は日本のJAXAを抜いてしまった程だから。
どうせ神舟はロシアの宇宙開発技術のデッドコピーにしか過ぎないと思うから。
残念ながら技術立国ニッポンを合衆国が認めなくなってきているのも感じた。
また、スペースデブリの怖さはリアルに描かれている様に思います。ます。
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