「良作だけど、ほめすぎ。」ゼロ・グラビティ moviebuffさんの映画レビュー(感想・評価)
良作だけど、ほめすぎ。
良作だとは思う。ビジュアル的には大興奮。でも傑作じゃない。以下理由。
1.ジョージクルー二ーのキャラクターのKYぶり。
サンドラ・ブロックがパニックにおちいった時、落ち着かせようとして、くだらない事を話しかけてくるっていうのはわかる。でも、しつこすぎ。「残りの酸素1パーセント」の人に、返事の必要な話をベラベラすんなよ。お前のせいで酸素が減るだろうが!
宇宙ステーションへ避難しようとして「最後の1回か2回のジェットしか残ってない」、みたいな事言ってたけど、勢いありすぎて、二人とも宇宙ステーションに衝突・・。え?慣性の法則で少しだけ「シュッ」て出せば勝手にそっちの方角に行くんじゃないの?そういうソフトなタッチでちゃんとオープニングでは操縦できてたよね?なんで大事な時に急にに荒くなるの?
死んでからの夢のシーンですら、サンドラ・ブロックがまだヘルメット付けてないタイミングでハッチを開けてズカズカ入ってきて、どこまでKYなのか?とイライラ。
2.サンドラブロックのキャラクターがメンタル弱すぎ。
多分、娘が亡くなった事の悲しみを克服する人間の成長を描きたかったんだと思うけど、サンドラブロックが全然宇宙飛行士に選ばれるようなメンタルじゃない。中盤のソユーズ?に移ってからのくだりで、絶望するのが早すぎる。ベストを尽くした後、打つ手がなくて死を覚悟するっていう、描写がない。少なくとも、それが観客にはまったく伝わってない。ただ単に「弱すぎる人」のように見えてしまう。
最後に、もう一つ言うと、この映画の映像は素晴らしいのだけど、宣伝に疑問を感じる。実はこの映画、それほどビジュアルとしては目新しくはない。「2001年」や「ジュラシックパーク」をリアルタイムで見た人が感じたような、「こんな映像今まで見たことがない」というタイプの映画ではない。
宣伝でやたら映像革命と言ってるけど、基本的には今までのCG技術の複雑で丁寧な積み重ねで出来ている映画だと思う。(というか、そこがすごいのだけど。)
ひょっとしたら、宇宙ステーション内などのカメラワークを考えるとステーション内だけでなく、サンドラブロックの体もスキャニングしたフル3DCGだったのかもだが、それは既に他の映画でもやられている事。
カメラワーク等様々な乗り越えるべき技術面の苦労があったのは理解できるが、そもそも一般の観客は「どれだけ手間がかかったか」を見に映画館に足を運んでいるわけではない。
「映像革命だ」とか言ってるメディアの人に「じゃあどこが具体的に新しいの?」と聞いても答えられないような気がする。