「科学的に考えて」ゼロ・グラビティ nmaibouさんの映画レビュー(感想・評価)
科学的に考えて
これ、言われてるほど感動しなかった。
ところどころ違和感が大きくてあまり集中できなかった。
まず、マットがロープを放すシーンでは謎の力が働いてた。ロープが張って一度静止したなら、ちょっと引っ張るだけで引き寄せられるはずなのに。マットとライアンのあいだに斥力でも働いてるんじゃないって感じの動きだった。
ISSの中にあった火だって燃え方おかしいんじゃなかろうか。対流が起きにくいから火は青く、丸くなるはず。そもそも条件が揃ってないと多分あそこまで広く燃えない。あんな派手に燃やす実験ないだろうから正確にはわからないけど。
船内でのライアンの動きも慣性とか慣性モーメントとか無視したようなのがところどころあった。
しかも、衛星はひとりでに大気圏突入しようとするし、どんな動作もボタン一つで開始するし、冗長系なんてなかったかのようにいろいろ使い物にならなくなるし。宇宙技術を開発するときに技術者が一体どれほど脳を使い潰して設計してると思ってるんだよ。
更には、序盤の通信機器を修理しているシーンで、あなたがスペシャリストだからあなたに任せるとか言ってる。いやいや、マニュアルしっかり確認してダブルチェックしろよ。一人に完全に任せるとか、一体その機器を宇宙に送るのにどれだけ金かけたと思ってるんだよと。
ライアンもメンタル弱すぎる。異常事態になったらすぐ喚いたりあきらめたりするし。動きも常に超どんくさくて見ていてイライラした。あんな人間がそもそも宇宙に行くことが出来るだろうか?たとえ近未来で宇宙に行きやすくなっていたとしても、あんな「お荷物」を宇宙に飛ばすだけの金はどんな国にも無いと思う。宇宙に行ってまでやりたいことがある人間があんな簡単に生きるのを諦めるかね?そんなメンタルが弱い人間が、デブリが弾丸並のスピードで近づいてるってのに作業続けようとするし。あれこそ怖くて動けなくなるだろうよ。散弾銃を数十秒間連射され続けてるようなもんなんだから。
音の演出とかでなるべくリアルな宇宙を描こうとしている印象があったから逆に色々違和感が強調されて集中できなかった。映画的演出って言葉じゃちょっと擁護しきれないくらいには不自然な点が多かったんじゃないだろうか。
でも、序盤の演出はなかなか良かった。下手なホラー映画よりはよっぽど怖かったよ。怖いの苦手なんだよ勘弁してくれよ、と思いつつ見てた。
すごく共感しました。
この映画の価値は撮影技術にこそあれ、スリルを味わうところにこそあれ、女性飛行士の色っぽい身体を描くことには成功していても、SFにありがちな(SFなんだが)謎が多すぎる。
偏った見方をすれば
その謎が逆にスリムでいいんだよと言われそうだが見終わって(?_?)(?_?)(?_?)(?_?)だらけでした。
なぜあのような彼女が飛行士に選ばれる?
なぜ途中で男性飛行士は女性と切り離してしまう?
なぜソユーズや中国の宇宙船には誰も乗っていない?
なぜソユーズの取説が紙媒体?
たまたま2Dで見たのだが、残念、観客は3人のみ。
3Dではもう少し入るのかも知れないし、正月は入るのかも知れないがアメリカ並みのようなことはないと思った。お国柄かな。
引き戻すときの動きでライアンの足の紐も外れてしまうかもしれないというマットの心情も映像で描かれてましたよ。
映画は第三者の存在を明確に描写していないのでハッキリとは言えませんが、拡散し大規模化したデブリの流れを考慮して、中国側が大気圏による処理を行ったというのも考えられます。
ライアンの動きが鈍臭いというのは、まず我々には理解できませんね。
基本的に映画では酸素濃度が減っている状態ですので、目眩などが徐々に悪化していっているうえ、超がつくほどベテランであるマットでさえあの様と考えると、仕方が無い部分もあります。
例え宇宙飛行士がエリートだったとしても、人間ですから、投げ出されて冷静になれなくなっても別段不思議ではありません。