「GOOD BYE GOOD LUCK」シン・エヴァンゲリオン劇場版 ONAKAMAさんの映画レビュー(感想・評価)
GOOD BYE GOOD LUCK
本来公開されるタイミング、2020年6月27日に公開されていたら自分はこの作品を見ることはなかったと思います。昨年の夏にふらっと寄ったレンタルビデオ屋で前々から興味はありつつも拝見したことのなかった「ヱヴァンゲリオン:序」を観て衝撃を受けまくりました。なんだこのすごい作品は!と。
そんな運命と呼んでいい出会いからきたる3月8日、ついに今作を見ることができました。
観終わった後に体の力を全部奪われたような感覚になりました。
今までの振り返りと序破Qの映像が流れますが、この時点でほろっときてしまいました。付き合いは短いけれどエヴァンゲリオンという作品への想いがこんなにも強くなっていたんだなと実感させられました。
開始早々から繰り広げられるフルスロットルな戦闘シーンで心はがっちり鷲掴みされました。アニメーションの最先端を行く技術を惜しみなく出していくカラー凄いです。
前作からの流れで、シンジ・アスカ・アヤナミレイの3人がトウジやケンスケがいる村に向かう展開がとても不思議に感じました。先程まで繰り広げられていた戦闘シーンからぐわんっと変わる日常シーンへのギャップに驚きを隠せませんでした。そんな日常シーンでのアヤナミレイがひたすらに可愛くて、言葉を一つずつ覚えていく様子や仕事をしたり、お風呂に入ったりと序破Qでは見られなかった彼女の活発的な姿が見れて良かったです。シンジくんは前作の時点で失語症になっており、冒頭は嘔吐のシーン以外は全く声も出しません。主人公がかつてここまで喋らない映画は見たことないなとここでも驚かされました。アスカは平常運転だけどやっぱりシンジくんの事を気にかけてくれているんだなとなんだかほっこりしました。(GBAに進化してる…)
でもこの作品がそんな平和なシーンが続くとは思っていません。予兆はありましたが、突然のアヤナミレイの爆発は衝撃的すぎて目が丸くなりました。綾波レイという名前をもらったばかりなのに…残酷だなと、でもこれがエヴァだなと。
復活を遂げたシンジくんはやっぱり監禁されてしまっているが、Qに比べると大分優しくされているなと思います。Qが異様に厳しかったなというのもありますが…
アスカとマリがタッグを組んで敵を薙ぎ倒していく様子がノンストップながら大迫力で、2人が手を揃えてA.T.フィールドを展開していく流れは興奮しました。カッコいい!と。銃撃・剣劇・打撃と多くのバリエーションの戦闘シーンで息つく暇もなく次へ次へ進むので、画面に身を任せてただひたすらに戦闘を楽しんでいました。
ゲンドウとの戦闘シーンでは目をごっそり無くしたゲンドウが登場します。もう人ではない何かのゲンドウから脳みそがぐちょぐちょこぼれるシーンは数秒ながらとてもインパクトに残っています。ゲンドウが乗り込んだ13号機VSシンジが乗り込む1号機との対決は今までを振り返るように様々な場所で戦い、そのシーンが映るたびにこんな会話があったなぁとしみじみしてしまいました。
ゲンドウの人格形成に携わる過程が事細かく描かれており、シンジと全く同じだったということも判明し、そんな中でユイと出会えたことにより、暗闇から脱却しており、シンジとレイやアスカとの出会いに似たものを感じとても優しい気持ちになれました。
そこから全員が戻るべき・帰るべき場所へと誘うために様々な世界線へと飛ぶシンジが対話を繰り返していきます。カヲルくんもQで話した場面を回想したり、旧版ではシンジくんがアスカの前で自厨行為をしてしまったシーンも2人が思いを伝えて幕引きをしたり、レイを帰るべき場所へと示唆したりと、物語の風呂敷を閉じるために尽力するシンジくんと共に物語は最後へと向かっていきます。
海辺で体操座りをしているシンジくんの元へやってくるのは最後のエヴァに乗り込んだマリです。「シン・」ではこの2人のやりとりがかなり多かった印象でした。このシーンで驚かされたのは、アニメーション→線画→下書きと変化していくシーンです。最初のテロップで文字が残ったままのカットをそのまま採用しており、最新のアニメーションからアニメーションの原点まで帰還するという胸熱なシーンでした。
成長したシンジくんとマリが駅のホームで出会い、現実が広がる世界へとシンジくん自ら手を引き出向いていくという形で物語は終わりを迎えます。前向きなシンジくんの笑顔を見れてとても良かったです。
見終わったあとに残ってしまうこのモヤモヤもさすがエヴァだなと。これはもう一回見ないと、と思わせてくれる作品でした。賛否あって当然の作品だと思います。自分は圧倒的賛です。四半世紀続く物語にピリオドを打ち素晴らしい幕引きをしてくれた製作陣に感謝しかないです。お疲れ様でした。ありがとうございます。
ありがとう、全てのエヴァンゲリオン。
鑑賞日 3/8
鑑賞時間 12:10〜14:55
座席 J-12
※友人と鑑賞、IMAX鑑賞