劇場公開日 2012年9月7日

踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望 : インタビュー

2012年9月5日更新
画像1

織田裕二、青島俊作として伝えたい最後のメッセージ

スピンオフを含む、劇場版5作の累計観客動員約3127万人、興行収入約427億9000万円という金字塔を打ち立ててきた「踊る大捜査線」シリーズが、9月7日公開の「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」をもって完結を迎える。15年間にわたり“青島俊作”として先頭を走り続け、座長としての役割を十二分に果たしてきた織田裕二が、シリーズを通じて伝えたかったこととは何だったのかを語った。(取材・文/編集部、写真/キムアルム)

画像2

青島俊作警部補、湾岸警察署刑事課強行犯係係長。これが現在の階級であり、役職である。テレビドラマの放送がスタートした1997年当時、階級は巡査部長に昇任してホヤホヤの時期だ。その頃から、織田には「この作品はすごい可能性を秘めていて、いつか映画化したいという夢があった」と明かす。

その夢はほどなくしてかなうこととなり、98年に公開された「踊る大捜査線 THE MOVIE 湾岸署史上最悪の3日間!」は、動員700万人、興収101億円という空前の大ヒットを飾る。目標を達成したわけだが、「皆と別れるときにちょっと寂しいというか……。冗談めかして『5年後くらいにまたできたらいいっすね』なんて言っていたんですよ。それが本当に第2弾をやることになったわけですが、もう1回やることによって、今までやったものが壊れてしまうのはイヤだという気持ちがあったので、えらく肩に力が入っていましたね」と振り返る。

織田は今回、完結編製作に際し、これまでのシリーズ全作を見直したそうで「気になったセリフとかを、台本の余白に書いておいたんです。最後ということもあって、初心に戻って最初から見てみたわけです。こうやって話すことで思い出すこともありますしね」と穏やかに笑う。しかしそれは、ドラマの1話から最終回までのダイジェストを語り尽くすほどで、「踊る」シリーズにどれほどの熱量を注いできたかが容易にうかがえる。

画像3

今作で幕を閉じるということは、撮影中ふとした瞬間に実感することもあったというが「それよりもやっぱり目の前のお芝居ですよ。最後ならなおさらベストのものにしたいっていう方向にスイッチを切り替えないと。ノスタルジックにひたっているわけにはいきませんから」と語る生真面目な姿は、青島とだぶって見える。それでも、「実は『踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!』が終わってから、僕の家に“青島コート”があったのですが、1度も着ることができなかったんですよ。まあ、着ないですよね、普通(笑)。結局置いてあっただけなんですが、他の役で着ることもないでしょうし、これを着てお台場の街を走ることもないんですよね」と寂しげに話す姿もまた、青島そのものだ。

8月23日に行われた完成披露試写会では、約4000人のファンの前で涙を堪えきれなくなったが、撮影中は「ないっすよ(笑)」と即答。何度か泣かされそうになったことはあったそうで、「撮影最終日にスタッフひとりひとりが花を一輪ずつくれて、最後には持ちきれないほどの花束になったんです。やばかったですね。でも、深津絵里さんが横にいて、泣けないですよ。日本男児ですから」と述懐する。

>>次のページへ続く

インタビュー7 ~織田裕二、青島俊作として伝えたい最後のメッセージ(2/2)
「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」の作品トップへ