「大人になるって何なのか」王様とボク シュナイダーさんの映画レビュー(感想・評価)
大人になるって何なのか
ラストがあまりにも曖昧過ぎて思いっきりモヤモヤ感の残る映画ではありましたが、よくよく考えれば、大人になるって案外こんなものなのかもしれないですね。
どこで大人になったかなんて、今となっては全く覚えていないぐらいどうでもいいことだった気もするのですが、子供から大人になる狭間の時期は無駄に思い悩んだりしてしまうもので・・・。
結局、知識や生きる術こそ備わったものの、心の中は大して変わっていなかったりするのが現実だったりしますよね。
大人になんかなりたくないと思っても、いつの間にか勝手に大人に向かって歩き出しているのが、大人になるってことなのかも・・・。
子供以上大人未満の4人の登場人物を見ていたら、ふとその頃の自分を思い出してしまいました。
菅田将暉(モリオ)・・・心は事故当時の6歳のままで体は18歳な青年を見事に演じ切りました。
子供から大人になる過程が全くないって、一体どんな感じなのだろうかと、思わず考えさせられてしまうようなキャラでしたね。
ただ、主人公では無かったような・・・。
松坂桃李(ミキヒコ)・・・実質の主人公はこっちですね。
過去にとらわれて生きている姿はちょっともどかしかったですが、子供の頃に事故を目の当たりにしたともなれば、過去にとらわれてしまうのもまあ無理はないのかな。
大人と子供の狭間で揺れ動く様々な感情を見事に表現していましたね。
相葉裕樹(トモナリ)・・・相葉と言うよりは大野似な相葉裕樹。
何だこの引きこもりニートはと最初は物凄くイラっとしましたが、終わってみれば一番苦しんでいたのは彼だったのかなと、妙に気になって仕方がないキャラでした。
足は結局どうしたのかな?
二階堂ふみ(キエ)・・・ザ・二階堂ふみとも言えるようなお得意のウザキャラを好演。
大人になんかなりたくないとハイテンション振る舞いつつも、向いてる方向は戸惑いながらもしっかり未来へと向かっているような、何とも掴みどころのないキャラを難なくこなしてしまう辺りはさすが二階堂ふみでしたね。
松田美由紀(トモナリの母)・・・さすがの存在感でした。
そして、何でも相談できそうな安心感もありましたね。
でも、息子のトモナリとは過去に何があったのでしょうか・・・気になる。
モリオと友人になった3人の小学生・・・思いのほかいい味出してましたね。
映画的な美少年じゃなく、極々普通の子供達だったのも物凄く好感が持てました。
やんちゃだけど、ちゃんと子供がしなければいけないことは分かっている辺りは、まさに今時の子供って感じでしたね。
12年の昏睡状態から目覚めたモリオ、そしてミキヒコ、トモナリ、キエの4人は、一体どんな大人になったのでしょうか・・・。