「「妹よ」」SHAME シェイム きりんさんの映画レビュー(感想・評価)
「妹よ」
兄のセックス依存症についてとやかく触れるレビューが多いけれど、騒ぐほどだろうか。
そんな小さな枝葉末節はカットしてしまっても構わないほど別にどうでもよいエピソード。
兄は出勤して仕事をし、契約をまとめ、地下鉄にも乗っている。普通の生活者だ。
ただ、
自分が今現在何に対して依存症の生活に陥っているかを思い巡らせてみれば、それぞれの桎梏はあまた沢山有る。
妻、子、家庭の維持、仕事の毎日、趣味、蓄財、老後の懸念、馬車馬のような生活、etc.
我を忘れてそれに囚われ、社会的には認知され正常なステータスと見なされ、道徳的と思われている日々であってもそれの何処が“依存症”でないと云えるのか、わからないではないか?
― 観賞中盤からそんな思いに捕まってしまった僕であった。
そのような依存症の毎日にふと思い出されるのが妹の存在なのだ。
母でもなく、妻や娘でもなく、心にかかる妹は特別の存在だ。
これがこの映画の主題。そこだけが見せ所。
題名は「妹」で良かったのではないかな?
コメントする