「乳幼児期の子育てを思い出しました。」おおかみこどもの雨と雪 あいりさんの映画レビュー(感想・評価)
乳幼児期の子育てを思い出しました。
とっても幸せになれる映画でした。
2時間おきのおっぱいと、夜泣きに悩まされ、花と同じく集合住宅での子育ては本当に気を使うし、よくぞノイローゼにならなかったもんだと自分を褒めてあげたいくらい。
歩けるようになればなったで、片時も目が離せないし、いろんなもの壊されたし、私の不注意で怪我させた事もあったし、うちの子が友達の子供に怪我させた事もあったっけ。
そんな思い出と重ねながら、素直に花を応援しながら見ることができました。
旦那について説明不足との声もありますが、私はむしろリアルだと思いました。
人が不慮の事故で亡くなる時って、実際そんなものじゃないですか?
遺族に「なんでそんな所にいたの?」「なんで回避できなかったの?」「どうしてこんな場所を歩いてたの?」という悔恨の思いをいっぱい残して突然目の前から消えてしまうのが普通じゃないですか?
突然亡くなった人の亡くなった理由なんて明らかになる方が非現実的です。
実際私の周囲にもシングルマザーは少なく無いですが、だいたいは旦那さんの事なんてよく知りません。
「あんな気さくでしっかりしたお母さんの別れた旦那ってどんなだったんだろうね」
「何があってわかれたんだろうね」
みたいにママ友間で盛り上がったりしますが、よほど親密にならない限りは根掘り葉掘り聞けません。
旦那のエピソードを深く描かなかった事で、花をリアルなママ友として見守る事ができました。
後は批判が多い学校置き去り事件。
あれも何で批判されるのか私には意味が分かりませんでした。
一生の別れになるかもしれない弟と、学校というこれ以上ない安全な場所にいて、信頼している姉。
母親としてとる行動はあれしか考えられないと思います。
きっと嵐の後の学校で涙顔の花の顔を観て雪はすべてを悟り、抱き合って泣くんだろうなって想像しちゃいました。
ラストで花一人になった家の中の描写が素晴らしく暖かくて、エンディングの回想シーンで涙がぶわってなってとまりませんでした。
他の方も書かれていましたが、あと10年分の成長を見守りたかったなあと名残惜しい気分でいっぱいでした。
雪が母親になるエピソードを続編としてみてみたいですね。
まったく同感です。
細田監督は伝えたい部分だけを表現するために、要らない部分は削り落としていきました。(と思っています。)
おおかみおとこなんて、とうとう死ぬまで名前すらありませんでした。免許証アップになってもわからいようにしてありましたね。細田監督にとって、名前なんて意味は無く、『誰よりも人間臭かった、家族を愛していた父親。』がいた。
ということだけを言いたかったのですよね。
なぜ雪を気にしてやらない?なんて話も聞くと、え”え”~~?と思っちゃいます。
どう考えても雨ですよね。母親だからなお更わかったのでしょうね。
この作品を本当の意味で理解できるターゲット層は母親だと思ったので
賛否問わずママさんはこの映画を見てどう思ったのかを知りたくて読ませていただきました。
自分では見ることのできない視点から実感のこもった文章を書かれていて素直に感心してしまいました。
僕の近所にも毎夜泣きじゃくる赤ちゃんがいるのですが、他人事だと思って「あーやってるやってる」と微笑ましく思っていましたが、お母さんからすれば大変ですよね(笑)
それと、旦那さんが死ぬシーンについて。
登場人物が突然の死を迎える作品なんて沢山あるし、その原因を具体的に描くものもあればあっさりと描かずに済ますものもあるので僕は特に気にしていなかったのですが、そのシーンでも賛否両論湧き上がってるみたいですね。
でも、あなたの描かないことが寧ろリアルだという考えは僕にとって新鮮でした。
知識は無いのでわかりませんが(学習意欲も)、死人に口なしという言葉はまさに大切な人々を失いその悲しみを実感した人によってつくられた、知ることのできないことの残酷さを込めた言葉なんでしょうね。
ママ友間は・・・な、なるほど、様々な会話をしているんですね。
>きっと嵐の後の学校で涙顔の花の顔を観て雪はすべてを悟り、抱き合って泣くんだろうなって想像しちゃいました。
僕もその雨去りし後のシーンを想像していました。
僕は、全てを悟った雪と一緒に静かに、でも清々しい顔つきで、風に髪をたなびかせながら山の方を見ているといった想像でしたけどね。
やっぱり、こういう想像を膨らませられるのがこの作品の良いところですかね。
あまり考察的でなく、感情のこもった文章を書かれていたのでコメントをしたくなりました。