「原作を読んでみたくなる・・・そんな作品でした・・・」おおかみこどもの雨と雪 ユメオイビトさんの映画レビュー(感想・評価)
原作を読んでみたくなる・・・そんな作品でした・・・
特に監督のファンではないのですが、前評判も高かったので昨日見てきました。
本当はすごく悲しい「別れ」のストーリーのはずなんでしょうが、「花」さんのキャラクターによって僕自身が「救われた」気がしました。涙を流しながらも笑顔を絶やさず、自らも強く生きながら同時に二人の「子供」を育て上げたその姿には感動を覚えました。このキャラクターは圧巻です。
”人工物”と”自然”・・・”都会”と”田舎”・・・そして”人”と”オオカミ”・・・その二つの”世界”の境目で強くたくましく生き、そしてそれぞれの”生きる道”に分かれていく母子の姿に本当に感動しました。
「人というものは、良いことをしながら悪いこともする・・・また悪いこともしながら良いこともする・・・」これはある有名時代劇の主役のせりふです。
泣きすがる花を邪険に押しとどめながら”おおかみおとこ”の遺骸を無造作にゴミ収集車に放り込む清掃員・・・ぶっきらぼうながら、花のことを心配して農業指導をしてくれる菅原文太さん演じる老人・・・何気ない言動で知らず知らずとはいえ雪の心を傷つけながら、しかし一方でかたくなに雪の”秘密”を守り通した草平・・・そんな人間の”暗”と”明”の描かれ方が特に印象に残っています。
ただ・・やはり惜しむらくは・・ラストの描かれ方でしょうか・・・
たしかに”自然”に帰った”雨”と人間として生きることを選んだ”雪”・・・そして二人の狭間で二人の生きるみちを”繋ぐ”ようにこれから先生きて行くであろう”花”・・・この三人が昔のように一緒になることは無いのでしょう・・・
ならばこそ、もう少し別れのシーンに力を入れてほしかった。あるいはラストに後日談でも”雨”と”雪”の再会シーンあたりが欲しかった気がします。たとえ言葉を交わさなくても、二人の間ではそれで十分でしょうから・・・
コメントありがとうございました。
確かにそうですねえ花ちゃんはこのキャラクターじゃないと最悪な事態に陥る可能性だってあったでしょうしねえ。
話はともかく、自分はクモの巣のきめ細やかさや山々を駆け抜ける描写に感動しました。