「動く絵画のよう」メゾン ある娼館の記憶 悠里さんの映画レビュー(感想・評価)
動く絵画のよう
衣装、アクセサリー、壁紙、ピアノ、それらが登場人物の物悲しい雰囲気に見事にマッチしていて美しかった。
シーンそれぞれが、まるで絵画。
このような女性が多く登場する話って
嫉妬や嘘が渦巻く世界として描かれることが多いけど、この作品は違います。
娼婦たちは支えあい、お互いを尊重するし、客が自分を選ばなくても取り乱さない。
新入りをきちんと面倒みるし、病気やケガで働けない同僚にも愛をもって接する。
安宿に売り飛ばされる不安や妊娠、性病、減らない借金、尽きることのない問題は、現代の風俗にも通じるものがたくさんあります。
梅毒で苦しむ仲間を看とり、
ラストの泣きながらダンスするシーンに思わず涙が溢れました。
照明も暗い、話も暗い。
決して楽しい気持ちになる話ではないけれど、時間を置いてもう一度見たくなる。そんな映画です。
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