マージン・コールのレビュー・感想・評価
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【88.7】マージン・コール 映画レビュー
ウォール街の深淵を覗き込む、緊迫の密室劇
映画『マージン・コール』は、2008年の世界金融危機、いわゆるリーマン・ショックの発生直前24時間を、ある大手投資銀行の社内という限定された空間で描いた作品である。J・C・チャンダー監督の長編デビュー作にして、その鋭い洞察と緊張感溢れる演出が高く評価された現代社会の寓話である。
作品の完成度
本作の完成度は、そのテーマの今日性と、それを描き切る抑制された手法によって、極めて高い水準に達している。
金融危機という巨大な出来事を、大衆的なスペクタクルや感情の爆発に頼らず、一晩の会議室と役員室での対話、そして数字の解析という地味な作業を通じて表現した手腕は特筆に値する。
危機の本質が、人間的な良心と組織的な論理の衝突にあることを、登場人物たちの冷徹な会話の応酬から浮き彫りにする。
特に、救済策としての「全てを売り払う」という非情な決断が、冷徹なビジネス判断として下される過程は、観客に倫理的な問いを突きつける。
舞台劇のような構成でありながら、金融の専門用語を巧みに用い、素人にもその危機的状況の輪郭を理解させる脚本の緻密さが、この作品を単なる経済ドラマ以上の、現代文明の構造的な欠陥を炙り出す傑作へと昇華させている。
第84回アカデミー賞において、脚本賞にノミネートされた事実は、その構成の非凡さを証明している。
監督・演出・編集
J・C・チャンダー監督の演出は、全編を通して抑制的かつ鋭利である。
彼は、豪華なセットや派手なカメラワークを排し、代わりに役者たちの顔のアップや、無機質なオフィス空間を映し出すことで、登場人物たちの内面的な動揺と、彼らが置かれた状況の非人間性を際立たせている。
24時間という時間制限を効果的に用い、深夜から早朝にかけて徐々にトップ層が集結していく過程は、静かなるパニックを見事に描き出す。
編集もまた、その緊迫感を高める上で重要な役割を果たしている。
情報の伝達と意思決定の連鎖を追うカットの繋がりは、観客を情報の渦へと引き込み、登場人物たちが感じる時間的プレッシャーを共有させる。
無駄なシーンは一切なく、まるで金融商品のリスク計算のように、研ぎ澄まされた効率性で物語を進行させていく。
キャスティング・役者の演技
キャスティングは、この作品の最大の成功要因の一つであり、実力派俳優たちがアンサンブルとして機能し、密室劇に圧倒的な説得力と重量感を与えている。
• ザカリー・クイント(ピーター・サリヴァン)
解雇された上司から託されたデータにより、会社の破滅的な状況を最初に発見する若きアソシエイト。
彼の演技は、理系的な冷静さと、巨大な倫理的重圧に晒された時の若者の戸惑いという二面性を見事に表現している。
深夜のオフィスで一人、複雑な数式と向き合う彼の姿は、まさに危機の「発見者」としての孤独と使命感を体現しており、観客の視点となる役割を十全に果たした。
彼の知的な風貌と、内面から滲み出る良心の葛藤が、物語の初期段階における緊張感の核となっている。
• スタンリー・トゥッチ(エリック・デール)
大規模リストラの初日に解雇されるリスク管理部門の責任者。
短い出演時間ながら、彼の存在は物語の発端として決定的な役割を担う。
彼の静かな怒りと、長年の経験からくる諦観を漂わせる演技は、ウォール街というシステムの非情さを象徴している。
特に、解雇された後に後輩にデータを託す際の、冷めた達観の表情は、巨大な歯車から弾き出された人間の哀愁を感じさせ、深い余韻を残す。
• ケヴィン・スペイシー(サム・ロジャース)
セールス部門のベテラン責任者。
彼の演技は、ビジネスマンとしての冷徹さと、長年培った人間的な倫理観との間で引き裂かれる中間の管理職の苦悩を見事に表現している。
組織の論理に従わざるを得ないという諦めと、部下たちを守ろうとする僅かな良心の火花が、彼の繊細な表情の変化から読み取れる。
特に、飼い犬の安楽死に言及する場面での、公私にわたる絶望と虚無感の表現は、本作における圧巻のハイライトである。
• ポール・ベタニー(ウィル・エマーソン)
サムの部下で、トレーディング部門の責任者。
彼の演技は、皮肉屋でニヒリスティックな、ウォール街の戦士の典型を見せつける。
金の亡者でありながら、自らの仕事に一種の哲学的冷徹さを持ち合わせる彼のキャラクターは、観客にとって最も感情移入しにくいが、最も本質的な金融マンの姿を映し出している。
彼の吐き出す容赦のない台詞は、危機に瀕した人間の本音であり、物語にドライな現実感を与えている。
• ジェレミー・アイアンズ(ジョン・トゥルド)
会社のCEO。クレジットの最後に出てくる役者ながら、その存在感で物語を締めくくる。
彼の登場は、危機の本質が、現場レベルではなく、究極的には資本主義の頂点に立つ者の冷酷な判断によって決定されることを示す。
アイアンズは、その威厳と冷酷さをもって、富の絶対的な権力を象徴的に体現し、彼が下す非情な決断には、一片の躊躇も見られない。
脚本・ストーリー
J・C・チャンダーによる脚本は、その正確性と緊張感において非凡である。
ストーリーは、一晩の出来事に焦点を絞り、金融危機という巨大なテーマを、人間的なスケールに落とし込むことに成功している。
専門的な金融用語が飛び交う中でも、物語の核心である「破滅的な商品を、知っていながら顧客に売りつける」という倫理的な背信行為の構図は明確に伝わる。
登場人物たちは、それぞれ異なる階層と良心を持ちながらも、システムの一部として機能せざるを得ない現代のサラリーマンの悲劇を体現している。
会話劇が中心でありながら、情報の発見、伝達、意思決定、そして実行という段階を踏んでプロットが進行し、観客を飽きさせない知的なスリルを提供している。
映像・美術衣装
映像は、清潔感がありながらも冷たい、無機質なブルーのトーンで統一されている。
ウォール街の超高層ビルのオフィスは、豪華であると同時に非人間的な檻のように映り、登場人物たちの心理的な閉塞感を強調する。
美術は、現代的なガラス張りのオフィスと、深夜の薄暗い照明によって、危機前夜の不気味な静寂を見事に表現している。
衣装は、登場人物たちの社会的地位と階層を明確に示す、シャープで高価なスーツ姿であり、彼らが資本主義の最前線にいることを象徴している。
しかし、夜が更けるにつれ、スーツの乱れや疲労の色が、彼らの心理的な疲弊を表現する道具となる。
音楽
音楽は、リチャード・バワーズが手掛けている。
この作品の音楽的な特徴は、その極端なまでの抑制にある。
大仰なオーケストレーションや感情的なメロディを避け、静かでミニマルな電子音やピアノの旋律が中心となっている。
このサウンドトラックは、物語の緊張感を煽るためではなく、むしろ冷徹で計算高いビジネスの世界の雰囲気を醸成するために機能している。
音楽が感情を誘導するのではなく、物語の冷たさ、無感情さを強調する役割を果たしており、会話劇の緊迫感を邪魔することなく、背景のムードを醸成している。
主題歌という形での特定の楽曲の記載はないが、この抑制的な音楽が、作品全体のトーンに不可欠な要素となっている。
主演
評価対象: ケヴィン・スペイシー (サム・ロジャース)
適用評価点: A9
助演
評価対象: ザカリー・クイント 他
適用評価点: A9
脚本・ストーリー
評価対象: J・C・チャンダー
適用評価点: A9
撮影・映像
評価対象: フランク・G・デマルコ
適用評価点: A9
美術・衣装
評価対象: ジョン・P・ゴールドスミス
適用評価点: B8
音楽
評価対象: リチャード・バワーズ
適用評価点: B8
編集(減点)
評価対象: ピート・ベアード
適用評価点: -0
監督(最終評価)
評価対象: J・C・チャンダー
総合スコア:[ 88.66 ]
【リーマンブラザーズをモデルとした、リーマンショックを引き起こした大手投資銀行が経営破綻を来すまでの一日を銀行幹部、社員たちの姿を通して描いた社会派映画。】
■2008年のある日突然、ニューヨークにある投資銀行が社員の8割を解雇する。だが、リストラされたリスク管理部門の責任者エリック(スタンリー・トゥッチ)が部下のピーター(ザカリー・クイント)に“用心しろ”と残したUSBメモリーのデータから、同社がMBS(危うい不動産担保証券:サブプライム商品)を多数保持していた事により甚大な損失を出すことが判明する。
会社の経営陣は、金融市場が開く翌朝までに対処しようと一晩中奔走する。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・冒頭の大量解雇シーン。ご存じのようにアメリカの雇用契約は基本的に”At-Will"(随意契約)であるので、簡単に首を切れるのである。日本の解雇の際には30日前通告が必要であるが・・。故に近年であれば、イーロン・マスクがXで何千人にも解雇通知を出せたりするのである。怖い社会である。
・今作を観ると、リスク管理部門が数カ月前から危機を伝えていたのに、それに気付かなかった、CEOジョン・トゥルド(ジェレミー・アイアンズ)などは、真っ先に責任を追及されるべきだが、経験豊富で狡猾なトゥルドは、ジャレッド(サイモン・ベイカー)を通じ、更なる解雇と、MBSを翌日市場が開いたらすぐに売り抜くように指示を出すのである。
因みに、この映画では、重要ポストの人間の年収が良く語られるが凄い額である。額に汗して働いていないのに、貰い過ぎじゃないかな・・。
・高学歴の社員でもあるピーターは、トイレで泣いている。”こんなはずじゃなかったのに。”と呟き乍ら。
だが、私から言わせれば・・<以下、自粛>
■今作の象徴的なシーンは、危機が分かった翌朝に、CEOジョン・トゥルドがウォール街のビル群を眼下にしながら、朝食を摂るシーンであろう。そこに呼ばれた苦悩しながら部下にMBSを売り抜けと指示した責任者のサム・ロジャース(ケヴィン・スペイシー)に、”君は生き残った。”というシーンである。サムは一時は会社を辞めると言うが、その意思を翻意する。彼には、会社自体が破綻する事が見えていたのであろう。
そして、ラストで彼が夜に”自宅”の庭を掘り起こすシーン。その家はもう彼のものではないのだ・・。
<何とも言えない重い映画である。
この映画の元になった会社が惹き起こした事で、日本を含め全世界でリーマンショックが起こり、大変な思いをした事を想い出す。
リーマンショックを過去の遺物と捉えている人も多いが私はそうは思わない。リーマンショックはその後、数年間にわたる就職氷河期を生み出し、現在40代前後の方々の多数の非正規雇用者を生み出し、日本の終身雇用という雇用スタイルを変えてしまったのであるから・・。政府の対応も遅かったしなあ。(近年、漸く対象世代に対する支援策を打ち出している。遅いんだよ、全くもう!)
尚、私も含めて”リーマンショック”を分かり易く描いた映画を観たい方は金融映画の逸品「マネー・ショート 華麗なる大逆転」がお勧めである事を最後に記す。>
年に何度か観る映画。
意外と豪華キャスト
NISAやるなら、観て損はない。
ウォール街を舞台にした映画としては、特筆に値する傑作では無いかな。
金融危機の初期段階だった2008年を舞台に、巨額の不良債権を売りぬくことで、市場と顧客の信頼を失い、従業員の大量解雇が変わらずとも、会社を存続させようとする、投資銀行の内幕を描いた実録ドラマ。
経営陣や幹部行員の自己保身や責任のなすりあいを通じて、非倫理的で腐った権力構造を、実にリアルな描写で冷静に描いている。俳優陣の素晴らしいアンサンブル演技も、本作を引き締まったものにしている。
ケヴィン・スペイシー、ジェレミー・アイアンズ、スタンリー・トゥッチなど、ベテラン俳優陣が堅実な演技をしているし、デミ・ムーアやサイモン・ベイカーなども、作品に貢献している好演だ。
ウォール街のシビアな現実を描いた作品としては、特筆に値する傑作では無いだろうか。非常にスリリングで最後まで見ごたえのある、オフィス・スリラーといえるような、企業ドラマの傑作だ。
リーマンショック前夜の人間ドラマ
映画マネーショートを観たので
こちらの映画も観てみました
本作はリーマンショック前夜の大手投資会社を舞台にしている
大規模のリストラを行っている大手投資会社から
リスク管理部門の社員をリストラし
その社員が残したUSBメモリから
このままだとだと会社倒産するくらいリスクがある
証券をもっていることが発覚する
そこから、急遽重役などが集まり
証券をどうするか決めようとする
投資会社はMBS(不動産担保証券)を大量に持っており
それがこのままだと値下がりをして会社資産を超える損失になる
そこでMBSを売るしかないとされるが
「問題のある証券」を顧客に売ることによって
会社の信頼に傷がつき、会社がやっていけなくなるということで
議論が紛糾する
しかし、結局は「問題のある証券」を顧客に売ることを決意し
会社はさらに大きなリストラをやりながらも
結局は生き長らえていく感じになる
サムを含む多くの会社の上司などは
解雇から免れることになる
人間ドラマというよりは
重役は責任を取ろうとしないで一般の社員にリストラで責任を取らせるということに感じる
破綻寸前の会社での悪あがきに見えるが会社が生き残るから無駄ではないのかな?
最初にクビにしたエリックを
強引に連れ戻そうとするが
エリックが戻ってもどうにもできない状況なのは変わらないので
パニックでやっているようにしか思えない
この映画でサムの犬が死にそうだというセリフがあり
ラストに結局は犬は死んでしまうという描写がある
この犬は投資銀行で働くサムの良心のメタファーなのかな?
演出はサスペンス。内容は人間ドラマ
大規模リストラが行われている中でケビン・スペイシー演じるサムは、飼い犬の治療費に1日1000ドルもかけたのにダメそうだと嘆く。失業者が出ている横でのこの発言は自分の金にしか興味を示さない非情な男に見える。このときは。
サムは勤続30年以上だという。サムにとって会社は家族だ。家族を守るため非情なリストラも敢行してきた。
他の経営陣には地位や金を守るため行動する自分たちと同じに見えていても、守りたいものの根幹がサムは違ったのだ。
だから会社が死んでしまうラストの強硬策に強く反対した。
冒頭の飼い犬についての嘆きの意味が、いくら手を尽くしても家族が助からないことについての悲しみに変わる。
墓穴を掘らずに済んだという経営者の言葉と対をなすように飼い犬の墓穴を掘るラストのサム。
飼い犬は会社のメタファーだ。サムは物語の中で家族のように大切な会社の墓穴を掘ったのである。
このレビューを書くまで気づいていなかったが、監督兼脚本はJ・C・チャンダーだった。
彼の作品は本作で3本目だが、観た作品に共通することとして、大きな力に翻弄されながらも抗う男を描いていると思う。
もう掴めるものがほとんどなくなった中でも微かに希望を見ようとする力尽きた男。そんな哀しき物語だったように思う。
リーマンショック時の巨大投資銀行を描き、とても興味深い映画ではあったが、リアリティを感じなかった
J・C・チャンダー 監督による2011年製作(106分)アメリカ映画、原題:Margin Call
サブプライムローン破綻による巨大投資銀行崩壊時の経営者による顧客を裏切る行動や中間管理職の葛藤や開き直り的行動等が描かれていて、興味深くはあった。
ただ、多くの社員が解雇される中、明日にも迫ってる自社の危機的状況を、首切られた調査員意外は誰も知らないという状況はかなり信じにくかった。反面、暴落中の債券を顧客に売る抜けろとのトップの指令は分かりやすかった。また、その指令には従え無いと思う中間管理職が結局は陣頭指揮してそれを行なうことや、馘首を免れて安堵する姿は納得できる部分はある。しかし、多くの債券が売り抜けられ、大量解雇もあり、何とか企業も主人公も生き残る様な描写には、リアリティを全く感じられず不満が募った。
実際はどうであったのか?
BBC製作の「リーマン・ブラザーズ 最後の4日間」(2009年放送)では、米国政府もしくは他企業が救ってくれると楽観的に思っていたが、そうはならなかったリーマン・ブラザーズの経営トップの姿がシビアに描かれていた。他力に縋るばかりで、自力再生の試みは全くなされていない様であった。やはりそれが現実だろうと再認識させられた。
監督J・C・チャンダー、製作ジョー・ジェンクス 、ロバート・オグデン・バーナム 、コーリー・ムーサ、 マイケル・ベナローヤ 、ニール・ドッドソン 、ザッカリー・クイント、製作総指揮カシアン・エルウィズ 、ローラ・リスター 、ジョシュア・ブラム 、カーク・ダミコ 、ランディ・マニス 、アンソニー・グダス 、マイケル・コルソ 、ローズ・ガングーザ、脚本J・C・チャンダー、撮影フランク・デマルコ、美術ジョン・ペイノ、衣装キャロライン・ダンカン、編集ピート・ボドロー、音楽ネイサン・ラーソン。
出演
ケビン・スペイシー、ポール・ベタニー、ジェレミー・アイアンズ、ザッカリー・クイント、ペン・バッジリー、サイモン・ベイカー、メアリー・マクドネル、スタンリー・トゥッチ。
ケビン・スペイシーが好演。
ケビン・スぺイシーのキャラ設定が少しブレていませんか?
金融危機の発端となったリーマンブラザーズ破綻の一日を描く物語。
実話をもとにしているだけあって、リアルで緊迫感がある私好みの作品でした。
登場人物がそれぞれの立場で動揺し、悲嘆し、会社を守るために、或は金融マンの矜持を守る為に奔走する様を、丁寧に描いていきます。
特に、数人の社員が屋上で話し込むシーンは、寂寥感を肌で感じるお気に入りのシーンでした。
事が事だけに、カタルシスを感じる展開にも、意外性を感じる展開にもなり難く、高い評価は難しい作品だとは思います。しかし、それでも私的評価4を付けたくなる作品でした。
流れる空気感が良い。
会社、組織の本質的なところが見える
ウォール街の力学
サブプライム・ローンへの投資を証券化し金融商品として取引可能にしたサブプライム・モーゲージは金融工学による巧妙なリスクの分散、不可視化を図った画期的な商品だったが当初から関係者の間では危険視されていたとリーマン・ショック後の報道で知った。金融危機を描くならその辺の舞台裏を描いた方が興味深いが本作では破綻の危機を前にした投資銀行の幹部の落胆と葛藤の様を描いている。銀行ものだからと言って間違ってもNYの半沢ものなどと期待してはいけません。
ケビン・スペーシーだから何か秘策があるかと期待したが、ウォール街の力学に屈してしまった。
脚本・監督のJ・C・チャンダーさんの父はNYの投資銀行家だったので、いくら映画でも青臭い嘘は描けなかったのでしょう。
余裕もなく小心者の私としては金融投資関係は余り縁のない世界なので登場人物に対してのリアリティは云々できないが理工系の秀才がかなりいるらしいとは聞いたことがある、上層部は如何にもという人物像、もっともCEOはリーマン・ブラザーズの元CEOを暗喩しているようです。
確かに解雇は身につまされはしますが証券関係は景気次第で待遇が極端な業界なので致し方ない気もします。
首元まで資本主義経済にどっぷり嵌っているご時世では善悪で描ける単純な話では無いですし謎のUSBなどとサスペンス風に入ったものの、それほどの盛り上がりにも欠けている、いわばドキュメンタリードラマを観ている感じというのが正直な感想です・・。
これなら2時間越えでも十分観れた
リーマンショック周辺を題材にした作品って結構あると思うが、その中でもガチのつくり方をした映画といえる。ガチというのはドキュメントとしての精度ではなくドラマとして。観やすい演出など一切なく終始緊迫感のみ。もろ大人向け。
投資に興味があるないで観る人の飲み込みは違ってくるが、事の全体像はあまり描かず社内の勢力図というか上下の力関係を主に描いているので、そこはわりかし間口が広いのではないかと思われる。(これ関連良作のマネーショートは全体も描いていたぶんややこしさもある)
キャスティングに惹かれて観る人も多いのでは。その点裏切られず満足できる。ただちょっと終わり方が呆気なさ過ぎるかな。これなら2時間越えでも十分観れた。
サスペンス?
全26件中、1~20件目を表示










