劇場公開日 2012年7月14日

「やはり映画化はハードル高すぎる原作」苦役列車 菜野 灯さんの映画レビュー(感想・評価)

1.0やはり映画化はハードル高すぎる原作

2022年8月6日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

私小説「苦役列車」がめちゃくちゃおもしろかったし、何回も読みたくなる小説だったので、映画化されていると知り、ほぼ期待せずに観たら、やはり映画は土台無理な小説だったと認識した。
私小説だからここの在り様を言葉で紡いでいるところに面白さがあるので、その表だけを真似ると、こんなような映像になってしまう。単に汚い、だらしないという感じになってしまう。
それを上っ面で表現するのではなくて、こころの屈折、劣等感、プライド、そんなものが観たかったが、ハードル高すぎて、小説だけにとどめておいた方がよいものだった。
あとは、演出では、主役にタバコを吸わせすぎ。タバコを吸う動作にかまけてしまって、肝心のこころの機微を表現しきれていない。すぐにタバコを吸う動作に逃げてしまっているようにも見えてしまう。
映画化にはそもそも期待しないが、一回、タバコを吸わないで、演ってみてよ、と自分が監督ならば、そんな注文だすよ、ワンシーンだけでも。そんなことを突っ込みたくなるくらい、タバコばかり吸っていて、あー、せっかく主役が気合入れて演ってるのにもったいないと思う。

菜野 灯