「西村賢太さんを偲んで」苦役列車 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)
西村賢太さんを偲んで
2度目の鑑賞
原作既読
原作は芥川賞作家西村賢太
監督は『リンダリンダリンダ』『天然コケッコー』『マイ・バック・ページ』『もらとりあむタマ子』『味園ユニバース』『ぼくのおじさん』『ハード・コア』の山下敦弘
脚本は『島田陽子に逢いたい』のいまおかしんじ
この作品に出演しているが日雇い労働者の一人だろう
おそらくバスで背後から2人に声をかけるおじさんじゃなかろうか
僻み根性丸出しで顔も頭も性格も悪い貧しい日雇い労働者の出会いと別れを綴った爽やかのかけらもない泥臭い青春もの
共感できる
心に突き刺さる
だからといって即ち名作とはならない
なぜなら自分の人生はとてもじゃないが傑作とはいえないからだ
共感できたら高評価し共感できなければ低評価することしかできない連中は嫌いだ
主人公は作者本人がモデルだろうか
日本文学でありがちな私小説というやつか
時代は80年代
シャツをジーンズのなかに入れている
みんな煙草バンバン吸っている
キャッチコピーは「友ナシ、金ナシ、女ナシ。この愛すべき、ろくでナシ」
貧乏なのは確かだが友達はできるし彼女じゃないけど女友達がいるし違うじゃねーかと最初は思う人もいるだろう
だけど主人公の言動のせいで友達も女友達も離れていく
ろくでなしらしいがそれほどろくでなしとは感じなかった
それでも愛すべきと言われても愛したくはない
何処の馬の骨かもわからない東京の小洒落たコピーライターの指図は受けたくない
R15は風俗シーンだろう
サロンというやつで裸で踊っている女を鑑賞しながら別の風俗嬢が手や口で性的サービスをしてくれる手口
若い男性諸君は無名な踊り子役のヌードより前田敦子の透けた下着に興奮するかもしれない
パンツ一丁であの日のように海で泳ごうとしたら砂浜の落とし穴にドボン
落ちた先は何故かアパートの前のゴミ置き場という最後の最後で突然SF的展開
小説を書き始める主人公の背中で終了
森山未來の顔は生理的に嫌いだ
男から見てもブサイクより高良健吾の顔を眺めている方が気分がいい
それ故にこの配役はバッチリだ
この役に森山未來はハマっている
実際に森山は役作りで風呂無し3畳の部屋にしばらく住んでいたという
菅野美穂のような何もそこまでと感じさせる役作りを彼もするんだなと感心した
引越し前にお尻を出ししゃがんでウンコしようとする北町が面白かった
松本人志が引っ越したばかりの小島よしおのマンションでそこはトイレじゃないのに大便しかけた『リンカーン』を思い出した
東京出身で父親が性犯罪を起こしたことで家族離散してしまう中卒の日雇労働者で主人公の北町貫多に森山未來
九州出身で日雇いの人足現場で親しくなり北町の友達になる同い年の日下部正二に高良健吾
北町のお願いで女友達になる古本屋で働いていた桜井康子に前田敦子
日雇い労働者で事故により大怪我をするが3年後歌手としてテレビ出演する高橋岩男にマキタスポーツ
北町が行きつけの古本屋の店主志賀に田口トモロヲ
北町の元カノで風俗嬢の熊井寿美代に伊藤麻実子
日下部の彼女の鵜沢美奈子に中村朝佳
日雇い現場の上司の前野健次に高橋努
風俗店の客引きに宇野祥平