劇場公開日 2012年3月17日

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「ガンホ堪能!一粒の塩はきらめく大海に至る」青い塩 cmaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ガンホ堪能!一粒の塩はきらめく大海に至る

2012年5月24日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

幸せ

久々に、やられました。
何と言ってもガンホ!です。ぱっとしないおじさん、伝説のやくざ、ときめく元少年、信念を貫く一途な男…様々な顔を見せてくれます。髪型や服装も「それらしく」くるくると変わりますが、さまになるのはガンホゆえ。外見ありきではなく、得体の知れない中身があるから「それらしく」見えるのです。いかにもハリウッドがリメイクしたくなりそうな作品ですが、彼に匹敵する役者さんはパッと浮かびません。スキだらけに見えて冷静沈着、無垢なのかフリなのかわからない笑顔、モサッとしているようでキレのいい身体…つくづく、唯一無二です。
殺し屋と標的の恋愛ものは決して新しくありませんが、本作は、二人がいわゆる美男美女でないところが魅力だと感じました。ちょっとした表情やさりげない仕草が雄弁で、本心と嘘、迷いや揺らぎが見え隠れし、ベタな話と思いつつも素直に引き込まれてしまいます。料理教室という一見突飛な設定(とはいえ、「ヒアアフター」も、料理教室が出会いの場になっていましたが…)も、塩、塩田、海…という広がりの出発点としてうまいなあと後々感じました。初めは端整すぎる気がした映像が、物語が深まるにつれ、大いに情感を掻き立ててくれます。
「グッド・バッド・ウィアード」をビョンホン目当てで観たという知人に、同作で共に主演を張ったガンホの素晴らしさをどう伝えればいいのか、もどかしく感じたことがあります。結局、「反則王」の全身タイツ姿は脳裏に封印し、「シークレット・サンシャイン」を勧めたのですが…。今なら迷わず本作を勧め、我がことのように胸を張りたいものです。
…それにしても、本作といい、「生き残るための3つの取引」といい、最近の韓国映画の世界では、ヤクザは虐げられる側。無数の人々の汗と涙の上にのさばり、冷酷非情に甘い汁を吸い尽くすのは政治家と周辺連中…がお決まりのようです。ん?それって映画だけ?韓国だけ?

cma