「夢物語を打ち砕くリアル」ライク・サムワン・イン・ラブ arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)
夢物語を打ち砕くリアル
クリックして本文を読む
上京早々デートクラブでアルバイトを始める大学生のアキコ。彼女はデートクラブのアルバイトをずっと続けるつもりはないだろうし、学生の身分にしたところで期間限定で、恋人ノリアキに対する態度も煮え切らない。中学を卒業して早く社会に出たノリアキは彼女と結婚を望むが、彼女はまだ猶予期間の中にいて、きちんと彼に向き合うことすら出来ない。アキコを指名する元大学教授のタカシはアキコの中に亡き妻、疎遠になってしまった娘の姿を見ていて、現実を見ていない。だからアキコとタカシ二人の距離が縮まって行くのもある意味必然。
ラストの展開は一見唐突に見えるが、二人に比べて圧倒的なリアルに生きるノリアキによって二人のつかの間の夢が破られるのもまた必然なんだと思う。
街の喧騒や車のエンジン音が印象に残るのは、いかにも、A・キアロスタミらしい。
特段外見を変えているわけでもないのに、ノリアキという人物をリアルに感じさせる加瀬亮が相変わらず巧い。
コメントする