劇場公開日 2012年2月4日

「【”自分の命を木に打ち込む。”今作は、宮大工西岡常一氏が末期がんを患いながら、薬師寺西塔再建に取り組む様を記録した、ムネアツドキュメンタリ―映画である。】」鬼に訊け 宮大工 西岡常一の遺言 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5【”自分の命を木に打ち込む。”今作は、宮大工西岡常一氏が末期がんを患いながら、薬師寺西塔再建に取り組む様を記録した、ムネアツドキュメンタリ―映画である。】

2025年7月30日
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鑑賞方法:VOD

知的

幸せ

ー 私事で恐縮だが、私の書架には西岡常一氏の著作が2冊ある。
  「木のいのち木のこころ」そして、今作で映された西岡常一氏の名言の多くが記された「木に学べ:法隆寺・薬師寺の美」である。
  購入した動機は、建立された薬師寺西塔を観に行った際に、氏の名を知ったからである。
  その本の中では、今作でも氏が語る”木でなく、山を買え。”と言う思想と、木の特性を知り尽くした言葉の数々や、且つて宮大工の仕事には欠かせなかった”槍鉋”を再現した過程などが綴られ、大変に面白かったモノである。
  文章は平易であるが、そこには”モノづくり”に命を懸ける男の生き様が記されていたからである。

  今作でも、それまで代々仕えていた法隆寺との建築に対する考え方の相違(鉄を使わない、コンクリートを使わないと言う西岡氏の信念:そして、それは現在では建築学者も認めている事であるが、当時は違った。)により、法隆寺を去り、薬師寺の宮大工で生きる苦悩の決断が描かれる。

  又、林業が衰退した日本では、求める気が得られないという判断で、台湾まで出かけ木を調達する姿。その際に口にする木の特性の見分け方を述べる姿。

  驚くのは、西岡氏の弟子に対する接し方、声の掛け方である。声を荒げる訳ではなく,肝要なポイントを端的な言葉で伝える姿に驚く。だが、弟子たちは西岡氏の事を怖いというのである。
  それは、氏が語るように”失敗したら、切腹する。”と言う想いが伝わるからであろう。ー

<今作を観ると、本気でモノ作りをする男の凄さと神々しさにヤラレルのである。今作で描かれる内容は勿論面白いが、業種は違っても本気で仕事をする姿勢や後進を育てる姿勢など、随分教えられるドキュメンタリー映画である。>

NOBU
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