劇場公開日 2012年10月27日

「「自分の死に方」を考えるには好個の一本」終の信託 talkieさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0「自分の死に方」を考えるには好個の一本

2023年4月26日
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本当に意思の強い患者だったのですね。江木秦三(役所広司)は。自分の末期をこんなにしっかりと見定めて「ぶれない」ことに、心を打たれました。
もちろん評論子自身も自分の「死に方」というのは分からないのですが、交通事故による不慮の急死でもない限り、こんなにしっかりと腹をくくることはできないようにも思います。

おそらくは折井医師(草刈民代)は、医師としては優秀・有能という設定ではあったと思うのですが、反面、同僚の高井医師(浅野忠信)との関係でも、自分の「位置関係」を見定めることのできなかったという「弱さ」が、結果として江木の意思の強さに押し負けしてしまい、本作の結果に至ったのではないかと思われてなりません。 (その意味では、塚原検事(大沢たかお)のややもすると強引とも言える取り調べも、本件判決の結論も妥当な線なのかと思い直したりもします。)
いずれにせよ「自分の死に方」に思いを致して観るには、好個の一本かと思います。評論子は。

(追記)
実は『ロストケア』が評論子には満足の行く作品ではなく、同作を鑑賞しながら脳裏に浮かんだのが、本作でした。
ずっとずっと以前に観ていて、再観になりるのでけれども、本作を改めて観て、書けずに苦しんでいた『痛くない死に方』のレビューも何とか書くことができました。
『ターミナル・ケア』とか『リビング・ウィル』ということに関しては、やはり本作が評論子の「土台」になっているのかも知れないと思いました。

talkie