「前作とは趣が違うが」G.I.ジョー バック2リベンジ tochiroさんの映画レビュー(感想・評価)
前作とは趣が違うが
以前この作品については「製作はされたが出来が悪くお蔵入りになった」という噂を聞いていたので、どんなものかと心配していたが、そんなに悪くはなかった。
第一作のハイテク装備満載の「超・特殊部隊」から、通常兵器の「並・特殊部隊」になってしまったのは少し残念だが、アクションシーンはよくできていると思うし、ブルース・ウィルスに頼ることもなく、各キャラがそれぞれの存在感を出しているのも好感が持てる。
偽のアメリカ大統領が核ミサイルを発射して各国を挑発、他国にも核ミサイルを発射させた後自爆させ、結果的に核ミサイルの廃絶を実現させるのは皮肉的で面白い(核爆発はなくても結果的には大気圏に大量の放射性物質がばらまかれるので、笑っている場合ではないのだが)。どうせならこの時に北朝鮮代表に「わが偉大なる首領様のなされることに間違いはない。よって我が国のミサイルに自爆装置などは装備していない」と豪語させ、各国代表を慌てさせた挙句、技術不足による制御装置の故障で太平洋に落下するとかの描写があればもっと面白いと思う。
また衛星兵器の武器がタングステンの塊を自由落下させるだけというのも「後を汚さないきれいな破壊兵器」という観点からは目新しい。但しいくら比重が大きく大気との摩擦に耐える高い融解温度を持っているといっても、単に自由落下の運動エネルギーによる衝撃だけで、あれほどの破壊ができるのかは疑問が残る。また初弾のロンドン攻撃は防げなかったとしても、攻撃手段が分かった以上その他の衛星兵器は探知可能だろうし、衛星軌道からの自由落下なら弾道計算もしやすいから、通常兵器でも十分迎撃が可能ではないだろうか。
私は「一般市民を守るために危険を顧みず必死で戦う」という幻想の軍人魂が好きなので、この点はもう少し各国の軍隊の冷静な対応を見せて欲しかった。
GIジョーは再編されたが敵はまだ逃げている。次作が製作されるかどうかは知らないが、その時はできればもう少しハイテク側へ針を戻して欲しいものだ。