「絶世の美女が不細工な男連中と浮名を流す情けなさw」プロメテウス 徒然草枕さんの映画レビュー(感想・評価)
絶世の美女が不細工な男連中と浮名を流す情けなさw
本作は完全な駄作である。あの素晴らしかった『エイリアン』シリーズに、リドリー・スコットは何故か、本作で止めを刺してしまった。つくづく残念でならない。そもそも製作すべきではなかったのだ。
本作が駄作である理由。
①エイリアンが人類の祖先=エンジニアによって人工的につくられた生物にされてしまった。つまり<底知れない脅威である存在>から、ただの管理された人造物に転落させられてしまった。
②自分たちのコピーを地球に創造したが、いざ出来てみたら不出来だったので、わざわざエイリアンで全滅させようとするエンジニアのバカさ加減。エイリアンで人類が滅んだ後は、どうやってエイリアンを全滅させるんだ? 完全な痴呆ではないかw
③登場する人間が全員揃いも揃って、ただのバカであり、クズであること。
典型的なのが研究チームのリーダー、チャーリー。
目的地に到着後、エンジニアのサンプルらしきものを入手し、同僚がそれを解体・分析するのを、こともあろうにウイスキーをラッパ飲みしながら見物する。人類最大の謎がたった今、解き明かされようとしている場面で、酒を呷りながら見物する科学者など存在しない。いたら、ただのゴミクズだ。
この間抜けは、その前にもエンジニアの宇宙船内部で、大気の成分だけを根拠にヘルメットを脱いでしまう。その大気中にいかなる病原菌があるかもしれないのに。
つまり、この人物は科学者でもないし、知識欲もないただの酔っ払いなのである。
その他にも異星人の証拠が見つかったのに、「俺は地質学者だ」と言って帰ってしまう研究者、ヘルメットの中で煙草を吸う基地外科学者…ふざけるにもほどがある。
④デヴィッドなるアンドロイドの魅力の無さ。その言動は何から何まで退屈だし、何のために『アラビアのロレンス』を気取ったり、ショー博士に入れ込んだりするのか、理由が全く分からない。
さらに人間を実験媒体にしてエイリアンの繁殖を試みる理由もまた不明であり、存在理由がない。人間vs.コンピューターの『2001年宇宙の旅』の祖型を、ただ再現するためだけに作られた無意味な存在だと断ぜざるを得ない。
このつまらないアンドロイドが次回作『コヴェナント』の主役となって、エイリアンシリーズの命脈は完全に絶たれるのである。
⑤キャスティングミス。
せっかくシャーリーズ・セロンが出てくれたのに、ノオミ・ラパスをヒロインにするかw 違約金を払ってでも、セロンをヒロインにすべきだった。
⑥流行歌のアナクロニズム。
スティブン・スティルス"Love The One You With"をはるか未来のシーンで使ったりするなよ。次回作では、ジョン・デンバー"Country Road"を使うなど、もう滅茶苦茶。
…等々、この作品のデタラメさは目に余る。リドリーは痴呆症じゃないか、と思わされた。
とはいいながら、映像はエイリアンシリーズの中でも屈指の素晴らしさなのが、困ったところである。だからバカな映画だなあと思いながら、何度も見てしまう。
何と表現すべきか…ろくでもないブッサイクな男連中と浮名を流す絶世の美女を見た情けなさの感じに近いか。別に広末がどうしたとかは言わないがw
ただ、このデタラメさが次回作『コヴェナント』でさらに加速して、腹立たしいまでになるとは、毛頭予想も出来なかったのであるww