「ラブコメが基本ながらも、アクションも本格的なので、デートムービーとして双方楽しめる作品。」Black & White ブラック&ホワイト 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)
ラブコメが基本ながらも、アクションも本格的なので、デートムービーとして双方楽しめる作品。
本作は、ちょっとエッチなガールズトーク満開の婦人科ラブコメが基本ながらも、そこはマック・G作品だけに、スパイアクションも本格的。アクションとラブコメの両方が融合した作品として最後まで楽しめました。
CIAのFDRとタックの凄腕コンビ同士が恋敵になり、職権乱用でお互いのデートを監視しあうというあり得ない設定に持ち込むところが、なかなかいいんです。いくつもの偶然をごく自然に散りばめて、唯一無二の相棒同士を「ライバル」に変えていくところはよく錬られたシナリオでした。お互いが同一人物の恋人を見せっこするシーンは、予告編で何度も見ましたが、本編の展開のなかで見せられると、はやり可笑しかったです。
また職権乱用が可能になった伏線も丁寧に張られていました。冒頭に彼らが追いかけた闇商人を取り逃がすシーンが描かれて、一端は内勤勤務に降格されたものの、取り逃がした闇商人引き続き行方を追うように、ミッションが指示されていたのでした。それを口実に、チームには“機密事項”としてなぜ恋人の女性ローレンを徹底マークするのか明かしません。
ただチームのメンバーも馬鹿ではないので、対象人物を巡って、お互いのチームリーダー同志が恋敵になっているのは、公然の秘密にはなっていました。キスシーンやベットシーンが記録された映像を報告するときの気まずそうに媒体を渡すスタッフの仕草には笑えましたね。
そんな職権乱用で脳天気に、お互いの恋の進捗状況をチェックしあう二人に危機が迫っていました。冒頭で一味のボスの弟を殺害してしまったふたりに復讐を誓ったボスは、彼らの足取りを辿り虎視眈々と復讐の機会を狙っていたのです。
一方ローレンは、仕事では商品テスト会社のチーフをきっちりこなすキャリアウーマン。仕事に能力発揮する分、男運は弱く、ひとりで寿司バーに通うわびしい毎日。勝ち気なローレンはめいっぱい見栄を張って、街で元彼にバッタリ出会ったときなど、今は素敵な彼氏がいて、ラブラブなのよって嘘を突き通すのですね。
そんな彼女の心理状態を見せられていたから、FDRとタックの二人のイケメンに口説かれて、舞い上がるのも頷けます。
そして彼女の恋の相談相手となっているセックス至上主義の中年女性が、ローレンの
二股をけしかけます。手っ取り早く二人とも「味見」したらと。この辺のセックスに対するフランクな会話は、ハリウッドのラブコメ流が色濃く出ています。
この恋のさや当てで秀逸なのが、FDRとタックの恋に対する微妙な違い。生粋のアメリカンであるFDRは、女性に対して積極的でガンガンいくタイプ。それに比べて、英国出身のタックは、女性に対して積極的さではFDRに負けないものの、根っこには騎士道精神が宿り、ジェントルマンだったのです。この違いがこの恋のゆくえを大きく変えていきます。FDRの手の早さは、ローレンばかりではありませんでした。ラストで告白するFDRのひと言にショックを受けるタックには、同情しましたね。こんな意外オチがあったなんて、マック監督のサービス精神に感服しました。
そんな呑気な恋愛バトルに済ましておけないのが本作。一味の復讐の魔の手がローレンにまで及んだとき、アクションシーンが満載の迫力あるカーチェイスシーンにガラリと変わっていきます。長くはないもののそこはマック監督。見応えたっぷりでした。ここで技有りなのが、相手の逆襲にピンチとなったときローレンの商品知識が思わず役に立ってしまうことです。伏線が細かいのですね。
敵襲により、二人の本当の仕事がスパイであったことがローレンにバレバレになってしまいます。怒るローレンが納得してしまう展開もなかなか説得力を感じました。またその結果タックが、別れた妻や息子の信頼を取り戻すエピソードも良かったです。
さて果たして最終的にローレンがどっちの男性を選んだのか、それとも両方ともにダメにしてしまうのか、注目の結末は劇場でご覧ください。
さすがにラブコメの女王といわれているリース・ウィザースプーンだけに、ローレンの揺れる女心を最後まで微妙にドッチもありという表情で演じて、多いに本作を盛り上げてくれていたと思います。
女性も楽しめるアクション作品なので、デートムービーに最適でしょう。