「今度こそ」宇宙戦艦ヤマト2199 第一章「遥かなる旅立ち」 tochiroさんの映画レビュー(感想・評価)
今度こそ
「宇宙戦艦ヤマト」の実写版を観て「あの山崎監督をもってしてもこうなってしまうのか・・・」とやるせなくなり、自分にとってのヤマトは「さらば~」で終わったのだと思っていたが、ネットでこの作品の情報に触れたとき、そのスタッフとクォリティの高さに、三度目の正直と期待して今日を迎えた。
今回の上映はTV放映する時の1話、2話分で、ヤマトが惑星間弾道弾(超巨大ミサイル)を撃破して発進して行くところまでを描く(旧作で言えば1話から3話までに相当する)。作画はほとんど文句のない出来映えで、ストーリィや設定も旧作のテイストを色濃く残しながらしっかりリニューアルされている。
設定で変わっているのは、
1. 波動エンジンの情報が1年前にもたらされていること(そのためにユリーシャというもう一人の妹が登場する)。これは旧作の「波動エンジンの情報がもたらされてから、あっという間にそれができてしまう」という強引さの解消策であろう。
2. この作品のヤマトは戦艦大和の残骸を隠れ蓑にしておらず、昔の沈没戦艦の残骸に偽装した結果、たまたま海上戦艦型になったこと。これは今回のヤマトが(劇中では触れられずパンフレットのデータになるが)全長333メートルになったことで、旧大和を偽装手段にできなくなったためだろう。旧作と比べて約70メートル長くなった分の容積は、主に艦載機スペースに当てられるのではないだろうか。
3. 乗組員数もパンフレットのデータになるが999名と、旧作に比べて大幅に増加し、女性の割合も増えている。この描き分けは大変だろうが、人間ドラマに厚みを加えてくれそうだ。
4. 土方と山南が登場している(土方は沖田の戦友にして無二の親友、山南は沖田の副官)。これは続編を作る意図ではなく、既に制作されているシリーズ作品との繋がりをつけるためであろう。
ストーリィで変わっているのは
1、 旧作で沖田が古代と島にヤマト艦内を案内するシーンと、出発前のパレード、波動エンジンをかけ直すシーンがカットされていること。これは旧作で「波動エンジンの始動は一発でしなければならない」と言いながら、一度失敗してかけ直した矛盾を解消するためであろう。
2、 最初に書いたように今回は旧作の3話分を2話で描いている。総話数は26話と発表されているので、今後もどこを省いてどんな新ストーリィを加えてくれるのか、不安であり楽しみである。
その他偏狭なオールドファンには色々思うところはあるが、志を持って制作を開始してくれたスタッフに敬意と感謝を捧げつつ、今度こそ宇宙戦艦ヤマトがファンが満足するような形で、無事航海を終えてくれることを祈りたい。