劇場公開日 2012年3月16日

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「メリル・ストリープのサッチャーの顔がちょっと怖い」マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙 HITOMIさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5メリル・ストリープのサッチャーの顔がちょっと怖い

2012年4月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

女性の首相の映画だから、観客も女性が多いのかと思ったら意外と男性も多かった。
メリル・ストリープは今回、アカデミー主演女優賞を取りましたが、メリル・ストリープの扮する首相が迫力があってちょっと怖すぎ。
サッチャーの実家は自営業で、決して充分に裕福でなく家柄もよいわけでなく、彼女がオックスフォード大学に合格できて、上流階級と関わる機会を得たのだと、映画を観て知りました。
女性が当時、仕事を持ってやっていくのが大変な時代に、サッチャーの能力と魅力と強い意志で、階段をかけ上がっていったんだと思うんですけど、映画の脚本では彼女の能力と魅力がうまく表現できているともいえず、むしろ主演の女優の演技力でカバーしていったって感じ。
"鉄の女"の異名に相応しく、フォークランド紛争や大不況、労働ストライキ、IRAの無差別テロといった困難に直面して、緊張感をもって断行していった事実を丁寧に描くより、老境にいたったサッチャーが亡くなった夫に強くとらわれていたり、娘の世話になっているという、いわゆる”ぼけ老人”という点にばかりに比重が置かれ、人生の哀切を描ききるところまでいかず、何かが抜けているような。
主演の演技力だけが目立っていました。
あっ、それから題名の「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」の”涙”を思わせる部分がありません。正しくは「マーガレット・サッチャー 鉄の女の老い」でしょう?

HITOMI