「宣伝と本編の落差。」綱引いちゃった! ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
宣伝と本編の落差。
思った通りといえば、確かにそうなのだが…
タイトル通り、綱を引いちゃった!だけの映画だった。
彼女らの健闘ぶりや私生活宛らの楽しい場面はあるが、
これをわざわざ映画にする必要があった作品かと思える。
全体の運びがダラダラしており、笑える場面も単調気味、
おそらくは「綱引き」が最大の見せ場だと期待して待つも、
うーん…そうか、あれで最後だったかという印象に終わる。
大分市の観光PRと綱引きでの栄光、豪華なキャスト陣の
奮闘ぶりをご覧あれ!という意気込み満々な宣伝文句に、
せっかくの本編がきちんと乗っからなかった残念な作品。
元気をもらえる作品です!は確かに分かるけれど、
給食センターの存続が叶うわけではなく、雇用問題は残る。
地方財政の苦しさをリアルに!というのも分かるが、
こういった勝負モノを題材に据えといて、肝心なところを
スルーして落とすのは果たしてどうなんだろうか。
嘘だと分かっていても、これは映画なんだからと思っても、
やっぱり最後は満足感を得て、劇場をあとにしたいものだ。
すべてにオチをつけろ。とはいわないけれど、
計らずも中途半端な姿勢の脚本に感動は溢れてこなかった。
ダメ出しばかりして申し訳ないが(でも本音を書かないと)
親子の絆や痴呆問題、嫁問題(爆)、雇用労働面だけでなく
ドラマとしてはほのぼの感が強く漂って、いい場面もある。
未だトレーニングも中途半端なのに、すぐ飲み会やらお喋り
に興じてしまうオバさん達(コレ一番理解できたかも)の姿勢
には苦笑いしながらも、この辺よく捉えているなぁと思えたし、
しいたけ農家の玉鉄も真央命^^;の奇妙なキャラを熱演した。
松坂慶子のハジケっぷりは体型と共に素晴らしく豪快、この人
あっての場面も多い。西田尚美演じる養母には泣けてしまうし
…というわけで全体の散漫さを其々の役者が巧く埋めているが
そのエピソードと綱引きがスッと繋がっていかず、後半で突然
ドタバタ劇と化す。だいたい市長のキャラはあれでいいのか!?
笑いどころと落としどころを間違えると、
せっかくの感動が徒労に繋がる危険を堂々と犯した監督には
やっちゃった!賞をあげたいところだが、まずは今作を観て
大分市や綱引きに興味を持つ人が増えるといいけど…である。
(きょとん…(゜_゜>)とした作品は久々。主題歌もいいのにねぇ)