劇場公開日 2012年6月2日

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「その男、危険につき」外事警察 その男に騙されるな 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0その男、危険につき

2012年11月21日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

怖い

興奮

知的

NHKドラマの劇場版。

警視庁公安部外事課。
国際テロを未然に防ぐ、言わば日本版CIA。
日本にこんな組織が存在する事に驚き。
しかし、その実態は人知れず暗躍し、時には民間人をも利用する。
腰低く丁寧に接し、言葉巧みに心の隙間と弱みに付け入る。
手段を選ばない狡猾で非情なやり方にヒヤリとする。

震災直後の日本に朝鮮からウランが流出したとの情報が。
“公安の魔物”住本が動き出す…。

朝鮮情勢、核、テロ、震災…タブーに堂々と挑んだストーリーがリアリティたっぷり。
外事警察、韓国諜報部NIS、朝鮮テロリスト…それぞれの思惑が交錯し、緊張感たっぷり。
在日二世科学者の故国と死んでいった仲間への思い、家族への罪悪感、外事警察に利用される民間女性の苦悩と娘を思う強い母の姿…重厚なドラマも見応えたっぷり。

一筋縄ではいかない住本は渡部篤郎のハマり役。
真木よう子の熱演と田中ミンの存在感は秀逸。
日本でもこんなに骨太なポリティカル・サスペンスが作れる事に感激。

国の為?国益の為?正義の為?己の為?
単純に勧善懲悪で割り切れない物語に目が離せない。

その男に最後まで騙されるな。

近大