「1125」11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち chiliさんの映画レビュー(感想・評価)
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奇しくも命日に鑑賞。
そのせいなのか、小さな劇場に集ったおじいちゃんたちが、俺は三島を知ってる、必勝にあったことがある、古賀を知ってる、あんたは知らんだろう、と(巻き込まれ笑)アットホーム?な雰囲気の上映会に。
わたしは以前から60〜70年代をどうしても理解したくて、映画をみたり本を読んだりしているのですが、掴めそうで掴めないその頃の価値観、確かな熱気と冷めていく時代の温度差…この映画でもそれで終わってしまった。
でももしかしたらその矛盾が答えなのかも、と薄々思っています。
東大の討論も、自決直前の聞こえない演説も、はっきりいってハァ?て思ってしまうし、なんなら緊張感を高める効果の筈のピアノもおちょくってるように聴こえてきてしまう。
満島くんの狂信的な瞳も玉の汗も、真剣であればある程、滑稽に見えてしまう。
これは若松監督が意図しているのかな?ただ自分が天邪鬼なだけなのか?
どちらとも取れる、危険な映画なのかも。
三島作品を読んでも、ナルシストだなぁ…と、川端作品もなんだか生理的に合わなくて、太宰のほうがクスクス笑いながら読める自分にはそもそも合わないのかな。
余談ですが、小栗旬の太宰治の映画で出てきた高良くん演じる三島由紀夫、やっぱり真面目で硬くていちゃもんつけにくるシーンでしたが、その時も太宰と一緒にハァ?てなったのを思い出しました。すごく絶妙なキャスティングでした。
ただ、右も左もそのズレも滑稽さも、全て含めて今の時代があるわけで、今が正しいわけでもないだろうし、考えることをやめてはいけないんだ、と思いました。
ん?どういうこと?と文献のなかで右往左往する自分も随分滑稽ながら、分からない映画を見ていこうと思います。