「底無しの憧れの果て」11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち a0064さんの映画レビュー(感想・評価)
底無しの憧れの果て
三島由紀夫本人の思想より、戦後生まれの若者たちがどのように彼の思想に傾倒していったかを描くことで、彼の一見異常に見える理想主義のある種の普遍性を炙り出している。
流れる汗、鍛え抜かれた体、仲間への思いやり、一途な思い、、、これらは、人間にとって普遍的な憧れであり、その意味では共産主義とも共鳴するものがある。現代の目から見ると、赤軍派のやっていることも十分異常で、三島と似たもの同士にも見える。三島は怒るかもしれないが、この時代の人々は、共通のものに熱狂し、闘争に明け暮れること自体に憧れを見いだしていたように見える。自己陶酔の果てに命を落とした三島を、政治闘争の一幕と捉えられた当時の雰囲気、熱気こそ、この監督が伝えたかったことではないか?
そして、現代人も、表に見せる機会は無いものの、これに似た陶酔を持っている。潮目が来ていないというだけの話だ。
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