「本当の自分」アルバート氏の人生 arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)
本当の自分
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「どうしてかくも哀れな人生を選んだのか」
これはアルバートの死後、ホロラン医師が思わず呟いた言葉だが、男として生きることを選んだ時点で彼(彼女)に他の選択肢はあっただろうか?
アルバートは自分と同じように男として働き結婚し家庭も持ったヒューバートに出会い、自分も孤独な人生から抜け出せると考え始める。
人生において、自分が自分自身でいられることは不可欠だが、アルバートにとって本当の自分とは女性としての自分なのか?それとも男として生きてきた自分が本当の自分なのか?
誰かと人生を分かち合うなら、それは女性なのか?男性なのか?
アルバート自身、それがわからないまま、生きてきてしまったのではないか?
自身のアイデンティティが確立されないままのアルバートはヘレンにアプローチしてもそれは男性のアプローチとは大分違う。男の格好でいても何処か中性的なアルバートの姿はヒューバートの姿と対照的だ。
アルバートの最大の不幸は男として生きることを選んだことではなく、本当の自分が分からないまま、男として生きることは選ばざるを得なかったことだと思う。
長い間この企画をあたため実現にこぎ着けたタイトルロールのグレン・クローズはもちろんオスカー級の演技だが、アルバートと対照的なヒューバートを演じたジャネット・マクティアの男前振りが素晴らしかった。
私は宝塚歌劇には全くきょうみがないのだが、“ヅカファン”の気持ちがちょっとだけ分かったような気がしました。
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