「アメリカのシステムとは?」聴覚障害 La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカのシステムとは?
deaf&blind series第2部。アラバマの聾学校(AIDB)の記録。全寮制であるが故に生活レベルからの教育が出来る一方で、子供らは「家族に愛されずに捨てられた」と感じる難しい構造。障害者の問題は障害そのもの以上に、家族・社会の問題なのだ。一方で、障害を持つ子供らも「(障害にかかわらず)平等に扱って欲しいと思っているが、(障害があるのだから)特別な代償も欲しいと感じている」という教師の指摘は、あらゆる福祉に通じる難しさを表現していた。少しボタンを掛け違っただけで「障害者だからって甘えるな」というヘイト感情に繋がってしまう。
作品終盤、人種差別の厳しいアラバマ州から身を起こして黒人起業家として大成功した人が、「世界で最も素晴らしいのはアメリカのシステムだ」「障害を忘れろ、自分を憐れむな」と障害者の前で講演する。その話に発奮する人も居たのかもしれないが、空疎な言葉として聞き流した人も多いだろうと思った。彼の説く「アメリカのシステム」とは「(金儲けに)成功した強者のシステム」なのだ。
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