エッセネ派のレビュー・感想・評価
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修道院とはセラピー施設?
フレデリック・ワイズマン特集 - その5 (1972)
本作でのワイズマンの観察対象はベネディクト会エッセネ派(これがどういう宗派なのかは分からない)の修道院です。
修道院と聞くと、宗教者たらんとする人々が禁欲的で穏やかな生活を送っているのかと思いきや、本作に登場するのは、日々の悩みにウジウジしていたり、「ファースト・ネームで呼び掛ける人は好きになれない」などとつまらぬ事に拘る人々なのです。ここが修道院であると言う事を除けば、その内容は我々が職場で聞く愚痴と何ら変わりません。それは、院長を含めた修行僧は我々と変わらぬ人間であると言う事の証なのでしょうか。ただ、どうしても気になった点。
一人がカメラに向かって語る時はいつも「自分の問題」であり、人々が語り合う時は「修道院内の問題」なのです。人々の眼は頑なに内に向いているのです。この当時アメリカはまだベトナム戦争の最中であり、社会的な動乱期でもあります。それなのに、誰の口からも社会についての発言が出ないのでした。修道院とは社会生活に馴染めなかった人々のセラピー施設なのかなとすら思えました。勿論、そうであっていいのですが、それまで想像しなかった意外な姿でありました。
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