デビルズ・ダブル ある影武者の物語のレビュー・感想・評価
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ドミニク・クーパーの人間モーフィング
この国で何をやっても許される一族の長男ウダイと、そのウダイにそっくりなために人生の歯車が狂ってしまう男の物語だ。
この二人の男をドミニク・クーパーが二役で演じるわけだが、その演じ分けが半端ではない。
なんでも自由になり、一級品を身に着け、男だろうが女だろうが跪かせることができながら、常に父の影に怯え自信のないウダイと、家族を監視下に置かれ逃げ出すこともできず、王宮の贅沢で甘美な生活にたじろぎながらも、人としての信念を曲げないタフさを持つラティフ。単に操る者と操られる者の仕草だけではない、その性格や人間性までも演じ分ける。
ラフティがウダイになり切ろうと喋り方や笑い方を練習する場面も見どころだ。もう一人の自分と、まだなり切れない中間をも演じることになる。ドミニク・クーパーの離れ業は正に人間モーフィング。
どんなに豪華な衣装を着けていようが、どんなに絶叫しようが、ラティフにはラティフらしさが残る。怪演としか言いようがない。ほかに適切な言葉が浮かばない。
原作が本人だから、どうやら生き延びたことは察しがつくが、映画の終盤はウダイの手から逃走するラティフの、理不尽な運命と死に物狂いで闘う様子が描かれる。息詰まる新たな展開に、作品が単調にならない演出の工夫がみられる。
それにしても、やりたい放題のウダイを成敗しようとするサダームが、立派な父親に見えてしまう作品だ。
こんな狂人が、権力をカサに・・・
まずは、ドミニク・クーパーの熱演に拍手!!
ウダイ・サダム・フセインの影武者になるよう、強制されたラティフ。
ウダイとラティフを、とてもよく演じ分けておられた。
影武者なのだから、当然本人と同じでなければいけない。
民衆の前に出ることもある。
≪似ている≫ではダメなのだ。
そこのところを、とてもうまく演じておられた。
ラティフが、ウダイに似せていく様子が良い。
最初は、真似をして、似せていく。
それが、練習の甲斐あって、本人になっていく。
ウダイもラティフも、ドミニク・クーパーが演じているのに!だ。
父親のサダム・フセインも劇中言っていた≪生まれた時に殺しておけばよかった≫と。
そんな長男ウダイ。
酒とドラッグ。
女に、暴力。
気の向くまま、残虐なことをやりたい放題。
良心のかけらもない。
そんな男の影武者になんて、なりたくないよね。
もっと尊敬できる人間の影武者ならまだマシ。
狂気と良心。
その間で、巻き起こる殺意。
もうこうなったら、殺すか、殺されるか、だ。
どっちがどっちを殺すの?!
そのスリリングなドキドキ感が良かった。
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