がんばっぺ フラガール! フクシマに生きる。彼女たちのいまのレビュー・感想・評価
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原子力 郷土の発展 豊かな未来
映画「がんばっぺ フラガール! フクシマに生きる。
彼女たちのいま」(小林正樹監督)から。
映画「フラガール」の舞台となった、
福島県いわき市のレジャー施設「スパリゾートハワイアンズ」。
(私たちの世代は「常磐ハワイアンセンター」の方が懐かしい)
震災後、復興に向けて頑張る「フラガール」を追った
ドキュメントであるが、その一場面に映し出された
「双葉町入口の看板」まちづくりの標語が目に付いた。
大きな横看板の裏表に書かれたそのフレーズは、
「原子力 豊かな社会と まちづくり」
「原子力 郷土の発展 豊かな未来」
私は、まず最初にこの看板を壊してしまいたくなった。
原発事故が起きる前は、豊かな社会が与えられていたかもしれないが、
事故後は、郷土の発展も豊かな未来も、奪われてしまった。
「看板に偽りあり」そんなメッセージさえ、聞こえてきそうだ。
せっかく復興を目指したストーリーにも関わらず、
メモ魔の私にインパクトを与えたのは、原子力の標語。
被災された家のカレンダーは3月のままだったが、
双葉町の目指した町も、被災当時のままだった。
震災から立ち上がった人々の真実のドラマ!
東日本大震災で営業停止に見舞われたスパリゾートハワイアンズが、営業再開するまでを追ったドキュメンタリー。
映画「フラガール」同様、フラガールたちの姿を中心に構成。40年前のオープン時以来の全国キャラバンの模様も映し出す。
かと言って、彼女たちだけにスポットを当てた訳ではなく、ハワイアンズの経営者や従業員、特にパフォーマンスを披露したくても出来ないファイヤーナイフダンサーの男たちの姿は印象的。
被災地・被災者を描いたドキュメンタリー映画なので、震災後の生々しい映像も映し出される。
フラガールのサブリーダーの女性が一時帰宅で双葉町へ。放射線汚染であの時のまま時間が停まったゴーストタウンと化した故郷。自宅は原発から僅か2.2キロの距離にあり、二度と帰れない現実。
震災後のハワイアンズの内部も公開され、その損傷した映像も衝撃的。
しかし、ここから立ち上がった。
ハワイアンズは損傷を直し、震災から数か月で営業再開。
それに携わった人々の、逞しく前を向いて歩く、真実のドラマである。
そして、久し振りにハワイアンズに行きたいと思ってしまうのだった。
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