「素晴らしかった」時をかける少女(1983) 古泉智浩さんの映画レビュー(感想・評価)
素晴らしかった
この映画が公開当時はまだ中学生で滅多に映画館には行けなかったし、知世ちゃんの事を知るのはこの映画で魅力に気づいた、とりみきさんやゆうきまさみさんの漫画からであるので、公開当時に大人だったとしても見ていたかどうか分からない。その後『愛情物語』から映画館で欠かさず見に行ったのだがどれもこれもさっぱり面白くなく、『キャバレー』は見に行かなかった。
この映画そのものはテレビ放映で初めて見て録画して何度も見て、DVDも借りて『時をかける男』などというパロディ漫画も描いた。
そしてとうとう初めてスクリーンで見ることができて感無量であった。エンディングの歌は、当時を懐かしむ満員のお客さんで合唱し僕も隣のお客さんと肩を組んで声を張り上げて歌った。というのは嘘で口をパクパクさせて声を出さずに歌ったのだが本当に楽しかった。人生の目標を一つ塗りつぶしたような気分になった。
知世ちゃんの部屋にある日本人形は不気味すぎるし、どんな大地震だったとしても飛び過ぎでポルターガイスト現象レベルだった。時間軸がどうなっているのかいくらか腑に落ちないところもあるけど、本当に素晴らしかった。
(追記)
2016年8月に角川映画リバイバル上映で見て以来なので約4年ぶり。大林監督の初期作品から順を追って見ているせいで、いろいろとなるほどと思う。尾道が『転校生』の時と違って、まるで城下町のような趣で撮られている。角川3人娘の原田知世主演第一作なので、とことん知世ちゃん中心にカットが割られ、深町君と比べて5倍くらい知世ちゃんの顔が映っている。尾見としのりは深町くんに自分の恋をそっくり奪われてしまっており、その悲しさはもっと指摘されるべきところだ。醤油の仕事をしながら知世ちゃんにクールに接しており、そんな余裕をこいている場合じゃないぞ、と思う。音楽が改めていい。