「無駄に派手で、無駄に長い映画」シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム 全竜さんの映画レビュー(感想・評価)
無駄に派手で、無駄に長い映画
犯人との頭脳戦が繰り出される従来型のホームズとは、逸脱し、終始、ドッカンドッカンと爆発と肉弾戦が飛び交うアクション重視のエンターテイメントなので、本筋なのに妙にスピンオフ扱いの雰囲気がプンプン匂うシリーズは珍しい。
胡散臭いからこそ気楽に楽しめる側面も有る。
が、暴走にも限度が有る。
戦争に突入させようとするテロ組織との激しい攻防戦がメイン。
スケールが世界規模に拡大し、より娯楽性が発展されたが、範囲が広くなり過ぎ、暴れっぷりに収拾がつかなくなった印象を受けた。
落ち着きが無いにもほどがあり、監督自身もマズいと察した
のか、推理らしき場面は、過剰なほどスローテンポで推してくるので、逆に鬱陶しい。
ホームズは推理というより妄想の類いで事件を片付けている気がしてならないので、やっぱり、
「おいおい…やり過ぎやろ」
と、ツッコまざるを得なくなる。
無意味にバイオレンスが派手になり、無意味に長い暴走のノンストップフルコースに客は飽食気味で途中で胃もたれ。
要は、大味なのだ。
ホームズとワトソンは主&助手というより共に命を懸けた盟友、というか腐れ縁のような持ちつ持たれつの関係性なので、ルパン三世と次元大介に近いコンビネーションやなと前作は割り切って楽しめたものの、今作の致命傷はヒロインの存在感が薄くなっている事やと思う。
敵と味方を行き来し、色気で相手を翻弄する峰不二子的な女豹がオープニング早々、不在となってしまうのが残念。
代わりにフランスのジプシー占い師が登場するが、はっきり云うて別に女性である必要性のないキャラクターなので、駆け引きに面白さが膨らまない。
コレを云っちまったらオシマイだが、悪の親玉の教授は、あんなに悪事を立て続けに仕掛けまくっていたら、ホームズよりもまず、警察が黙っていないやろと思う。
なぜ、ノーマークなんだろう?
凶暴な部下を何十人も引き連れ、人殺しまくってんだから、簡単に逮捕状を請求できる筈である。
そもそも教授やってる場合ではないやろと思う。
無敵のスーパーヒーローになった2人のアクションには胃もたれするが、掛け合いの面白さは健在なので、気楽に観たらイイんじゃないですか。
では、最後に短歌を一首
『惨劇の 火蓋占う 霧の糸 結び目を詰む(摘む) 棋譜は道連れ』
by全竜